王座戦

第65期王座戦五番勝負第3局

羽生善治王座に中村太地六段が挑戦している第65期王座戦五番勝負。
第2局は156手で中村六段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2連勝とし、奪取まであと1勝としました。

では、第2局を振り返りましょう。

第65期王座戦五番勝負第2局-1

第2局は羽生王座の先手番です。
初手▲2六歩から相掛かり、それも最近ではあまり見ない腰掛け銀になりました。
羽生王座の相掛かり腰掛け銀と言えば、第5期竜王戦挑戦者決定戦、第6期竜王戦七番勝負第6局、第7期竜王戦七番勝負第1局、と、3年連続で佐藤康光現九段と激闘を繰り広げたのが印象的でした。
本局の中村六段は中住まいに構え、図から△6五歩▲4五歩と位を取り合いました。

 

第65期王座戦五番勝負第2局-2

先手から角交換をして、角換わりでありそうな後手右玉に似た形となりました。1つ違うのは、一歩を手持ちにしていることです。
図で羽生王座は▲4六角と好位置に角を打ちました。角換わりでは急所となりやすい角のラインです。
ところがこのケースでは角を手放した損も大きく、「単に銀を上がったほうが手広かったですね(羽生王座)」とのこと。
この後の展開を考えると羽生王座の駒組みはやや受け身なところがあり、もしかしたら先手番としては不満な展開なのかもしれません。

 

第65期王座戦五番勝負第2局-3

先手は6筋から、後手は9筋からの攻め合いになりました。
本格的な戦いが始まる前に一本▲2二歩を入れるのが手筋の一着。△同金と取らせることによって壁形となり、攻めがより効果的になります。放っておくと▲2一歩成でさらに玉が狭くなるので、 後手としても痛し痒しです。
ただ打ち捨てが早すぎると△3二金と形を直す余裕があるので、 総攻撃を仕掛ける前がひとつのタイミングになります。

 

第65期王座戦五番勝負第2局-4

中村六段といえばバリバリ攻める棋風という印象がありますが、ここからの3手は渋い手でした。
△6二金▲4五歩△3二金。
▲6四香を消すために△6二金とじっと引き、▲4五歩に対しても壁形を直すため△3二金と寄りました。
どちらも受けの手なので棋風とのギャップを感じますが、この様な手を指せるからこそタイトル戦の舞台に登場してきたのだと思います。
感想戦では、「どうせ(△6二金と)引かないといけないなら、先に(66手目△4一玉に代えて)引いておくべきだったかも」という中村六段のコメントが残っています。

 

第65期王座戦五番勝負第2局-5

感想戦では99手目▲7三銀に代えて▲2一銀と打つ手が有力とのことでした。
素人目には飛桂交換になったので、それほど悪くないと感じてソフトに聞いてみました。
うちのソフトがポイントにあげたのはこの局面。
実戦は▲4四飛と走りましたが、この手でガクンと評価値を落としています。
ソフトはこの局面で▲4八金を指摘しており、 意味としては守りの金を剥がされながら危険地帯に引っ張り出されることを大きく評価した様です。
確かにこの後、羽生王座は7・8筋から入玉を目指します。 それなら▲5八同玉と取らされる手は入玉を遅らせる手となり、ソフトのいう事も一理ありますね。

 
第1局に続き、150手を越える熱戦を制した中村六段。前回の王座戦挑戦ではあと1勝が遠かったので、気を引き締めておられることでしょう。
対する羽生王座は第59期以来の1・2局連敗であとが無くなりました。ただ、五番勝負での2連敗3連勝は前例も多いので、巻き返しに期待ですね。
次局は中村六段の先手番ですので、戦型は角換わりが最有力と見ます。
 
 
第65期王座戦五番勝負第3局
羽生善治(はぶ・よしはる)王座 対 中村太地(なかむら・たいち)六段
2017年10月3日(火)
<温泉御宿 龍言>新潟県南魚沼市坂戸山際79
立会:中村修(なかむら・おさむ)九段
新聞解説:飯塚祐紀(いいづか・ひろき)七段

棋譜中継はこちら
王座戦中継サイト

現地イベント情報はこちら
第65期王座戦、現地大盤解説会情報(日本将棋連盟)

生放送はこちら
第65期王座戦 第3局 羽生善治王座 vs 中村太地六段 五番勝負(ニコニコ生放送)
解説:村山慈明(むらやま・やすあき)七段
聞き手:塚田恵梨花(つかだ・えりか)女流1級

AbemaTV将棋チャンネル

-王座戦
-, , , , , , , , , , ,