王座戦

第64期王座戦五番勝負第2局

羽生善治王座に糸谷哲郎八段が挑戦している第64期王座戦五番勝負。
第1局は95手で羽生王座の勝ちとなりました。

では、第1局を振り返りましょう。

第64期王座戦五番勝負第1局-1

振り駒の結果、羽生王座の先手番となりました。糸谷八段は得意の一手損角換わりに誘導し、羽生王座も受けて立ちます。序盤の△6五歩が大胆な構想でした。角換わりでは▲4六角や△6四角とこのラインに角を打てると作戦勝ちになりやすいという傾向にありますが、後手はまだ居玉です。ここからどうまとめるかが、序盤の見どころと言えそうです。

 

第64期王座戦五番勝負第1局-2

35手目の局面について羽生王座は感想戦で「気がついたら模様が悪くなっていました」とコメントされていて、糸谷八段の作戦が成功しているようです。たしかに、▲3七角・▲2六銀はお世辞にもいい形とは言えませんし、6筋の位に反発した6六の銀も、やや分裂気味と感じます。感想戦で示された順は▲5八金に代えて、▲6八飛~角交換~▲3七銀・▲4六銀と駒を左側に集める指し方で、形勢は分かりませんが、一貫性を感じる順です。ちなみに、うちのソフトはこの局面を「互角」と評価しており、人間とコンピュータの違いが感じられます。

 

第64期王座戦五番勝負第1局-3

△3六歩~△3五歩と先手の右銀を愚形にしてから手を作ろうした糸谷八段。それに対して、銀を逃げずに▲2六角と打ったのが驚きの一着です。図から△3六歩▲5三角成と進むのですが、銀損の代償をどこに求めるかです。それは本譜の進行のように飛車を取って▲8一飛と打つ手が両取りになるので、これで取り返そうという狙いです。玉形の差がたたっています。ソフトの局面編集機能を使い、47手目の局面で、後手玉を2二や8二において評価値を見てみたら、いずれも400点台で後手良しでした。玉の堅さが形勢判断のひとつに入る理由がよく分かります。

 

第64期王座戦五番勝負第1局-4

後手は歩切れというのもつらく、銀得でも大変な局面になっています。△6四角~△6五銀と攻めかかったのですが、糸谷八段いわく、「暴発でした」。図から▲6五同銀△同桂▲6六歩と進んでみると、「桂馬の高跳び歩の餌食」の格言通りで、続く△5七桂成は歩切れを解消する手段でしたが、先手の歩が5筋に利くようになるという側面もあり、このやりとりを総合的に見ると先手の方が得をしています。

 

第64期王座戦五番勝負第1局-5

「仕込むワナすらありませんでした」という糸谷八段の言葉通り、この辺りは先手優勢の終盤です。次の一手は▲8八玉でした。一見、3三の角筋に入るようでセオリーに反するようですが、△6五歩が二歩で打てないので、この場合は安全地帯になりそうです。また後手には△3五角という狙いもあり、▲8八玉と入っていれば△3五角に▲6七金右と好形で受けることができます。戦いの最中に玉を囲いに手を入れる発想はとても勉強になります。

 
この後、30手ほどかかりますが逆転の余地はなく、羽生王座の勝ちとなりました。

次局は糸谷八段の先手番となります。おそらく角換わりを目指すと思われますので、戦型は羽生王座が伸るか反るかで決まりそうです。
 
 
第64期王座戦五番勝負第2局
羽生善治(はぶ・よしはる)王座 対 糸谷哲郎(いとだに・てつろう)八段
2016年9月20日(火)
<ウェスティン都ホテル京都>京都府京都市東山区粟田口華頂町1
立会:桐山清澄(きりやま・きよずみ)九段
新聞解説:稲葉陽(いなば・あきら)八段

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