王将戦

第65期王将戦七番勝負第2局

郷田真隆王将に羽生善治名人が挑戦している第65期王将戦七番勝負。
第1局は87手で郷田王将の勝ちとなりました。

では、第1局を振り返りましょう。

 

振り駒の結果、先手は郷田王将に決まりました。
羽生名人の2手目△8四歩に対して、郷田王将は▲6八銀から矢倉を目指しました。
最近のプロ棋界では先手矢倉が苦戦している印象があり、ここでの採用は研究を感じさせます。
この▲6八玉では▲3六歩とした実戦が2日前に指されており、その将棋は囲いもそこそこに戦いが始まりました。
この▲6八玉が郷田王将の用意していた手で、「△3三銀がちょっと早かったので」という感想が残っています。
高度過ぎて、真意のほどを詳しくお伺いしたいです。

 

第65期王将戦七番勝負第1局-2

矢倉は角換わりと違い、積み重ねる将棋です。
先手番の上に早囲いで一手得されては、後手としては差をつけられてしまうため、後手はそれを許さないように動くことになります。羽生名人は△5五歩~△5二飛と矢倉中飛車で攻勢を採りました。
それに対して郷田王将の▲7八飛が柔軟な発想でした。玉飛接近の悪形ながら、後手の角のにらみを避け、薄い7筋から攻めるという、指されてみればなるほどの一手です。

 

第65期王将戦七番勝負第1局-3

角の頭が薄いので守りの手を入れるかと思えば、羽生名人の指し手は△3一玉。
やってこい、と言われれば行く一手かと思えば、郷田王将の指し手はじっと▲3七桂。
達人同士の絶妙な間合いです。
△3一玉に▲7五歩は、△4五銀から攻め合いに持ち込む手があります。玉寄りの効果でこの変化がやや後手持ちのため、先手としては▲3七桂とそれを消してから攻めかかろうという意味でした。
Twitter解説の広瀬八段もこの▲3七桂を印象に残っていると書かれています。

 

第65期王将戦七番勝負第1局-4

△4五銀を消された羽生名人としては、今度こそ角頭を攻められるとまずいので、動かざるを得ません。
△6四歩と突き捨てたこの局面で△同角と取りましたが、この後の展開を考えると手損になってしまいました。
ここでは△6二飛と回るほうが良かったそうで、本譜とまったく同じように進むと▲7四歩の取り込み入っていない計算になるので、ずいぶんと景色が変わります。

 

第65期王将戦七番勝負第1局-5

懸命に攻めをつなぐ羽生名人に対して、郷田王将の対応が見事でした。
△7七歩には取る手もあったところですが、本譜は▲6五歩と飛車交換に応じました。
よく見ると、先手陣は飛車を打ち込まれても取られる駒は香車くらいですが、後手陣は金が離れているので先手に楽しみが多いです。
実戦も先手に先に飛車を打ち込まれ、と金を作られ、「こちらから手がない(羽生名人)」となっては、先手良しがはっきりしました。
ソフトも65手目▲7三歩成の局面で500点台で先手良しという評価値を出しています。

 
以下、手厚く構えた郷田王将が羽生名人を投了に追い込みました。

ギリギリで保っていたバランスが一手でダメになってしまった将棋ということで、郷田王将の快勝譜と言っても差し支えないでしょう。
居飛車党のトッププロは、後手をどう勝つか、という命題があるそうで、次局が早くも大事な一戦ですね。
郷田王将が後手番で勝って連勝で突き放すのか、羽生名人が追いつくのか、目の離せない将棋になりそうです。
戦型予想は、角換わり腰掛け銀としておきます。
 
 
第65期王将戦七番勝負第2局
郷田真隆(ごうだ・まさたか)王将 対 羽生善治(はぶ・よしはる)名人
2016年1月24・25日(日・月)
9:00~
<さぎの湯荘>島根県安来市古川町478-1
立会:森下卓(もりした・たく)九段
副立会:阿久津主税(あくつ・ちから)八段
記録係:梶浦宏孝(かじうら・ひろたか)四段

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