女流名人戦

第42期女流名人戦五番勝負第2局

里見香奈女流名人に清水市代女流六段が挑戦する第42期女流名人戦五番勝負。
第1局は138手で清水女流六段の勝ちとなりました。

では、第1局を振り返りましょう。

第42期女流名人戦五番勝負第1局-1

振り駒の結果、先手は里見女流名人に決まりました。
里見女流名人は得意の中飛車に。対する清水女流六段は、最近流行っている角道を開けない指し方を選びました。
実は12月に両者の対戦があり、同じ戦型で戦っています。
▲7八銀型が里見女流名人の工夫で、それを見た清水女流六段が△6四歩から△6三銀型をつくるという流れです。

 

第42期女流名人戦五番勝負第1局-2

 
後手は角交換されないと分かってから角道を開け、居角でポイントを挙げてから△1三角とのぞきました。
△5七角成があるので受けることになりますが、自然に見える▲5八金左では△5六歩▲同銀△8八歩という手段があって、先手がイマイチの形勢になります。

 

第42期女流名人戦五番勝負第1局-3

後手の馬が5七にいると、次に△6七馬の飛銀両取りがあります。それを承知の上で▲9一角成と香車を取った里見女流名人。続く△6七馬にも▲7四飛と切り飛ばし、▲5五馬で天王山を確保しました。
駒の損得は▲銀香△飛の2枚換えで先手の駒得ですが、駒の働きは後手も申し分ないので、このやり取りはどちらが得をしたのか微妙です。
控室では後手が良くなったという評判で、うちのソフトも300点台で後手良しと言っています。

 

第42期女流名人戦五番勝負第1局-4

やや苦しいと感じていた里見女流名人が放った▲4四歩。これを見た清水女流六段は「こんなに厳しいと思っていなかった」という感想を残されています。
△同歩には▲同銀と取られそうな銀を逃がすことができますし、玉の小ビンなので放置も勇気がいります。
感想戦では△4五馬と銀を取ってしまう順が良いとされましたが、なかなか怖いところでもあります。

 

第42期女流名人戦五番勝負第1局-5

▲7二飛の王手金取りに対して、△4二飛と飛車を合駒したのが上手い受けでした。手番を握りつつ4五の銀と取る狙いです。飛車を手放して落ちた攻撃力は△4五歩以下”と金”で補えるので、なるほどという合駒です。
△4五歩の瞬間は先手の番なので自信がなかったという清水女流六段ですが、里見女流名人の攻めをいなして先手玉に迫りました。
特に歩を使った攻めが印象的で、82手目の△2四歩は△6七馬と連動する攻め筋をつくる上手い受けでした。

 
前期は3連敗で敗退してしまった清水女流六段でしたが、幸先の良い1勝でホッとされたことでしょう。
次局までの間が1週間と短いので、清水女流六段としてはこの勢いで押し切りたいところですし、里見女流名人の立て直しにも注目です。
戦型予想は、後手番の里見女流名人が中飛車にすると予想します。
 
 
第42期女流名人戦五番勝負第2局
里見香奈(さとみ・かな)女流名人 対 清水市代(しみず・いちよ)女流六段
2016年1月24日(日)
9:00~
<出雲文化伝承館>島根県出雲市浜町520
立会・解説:脇謙二(わき・けんじ)八段
聞き手:室田伊緒(むろた・いお)女流二段

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