羽生善治王位に広瀬章人八段が挑戦している第56期王位戦七番勝負。
第2局は117手で羽生王位の勝ちとなりました。
シリーズ成績は、羽生王位の2連勝です。
では、第2局を振り返りましょう。
羽生王位の初手は▲2六歩。
相掛かりの出だしかと思われましたが、角換わりに落ち着きました。
最近の角換わり腰掛け銀は1筋を手抜きする指し方があるそうで、このタイミングであれば手抜きにくいというのが羽生王位の工夫だと思います。
私もマネしてみましたが、△6四歩を見る前に端を突いたので、棒銀に出られてしまいました。
後手の広瀬八段は、△6五歩型の待機策。
基礎知識として、この局面で△1二香が△4三金右に代わっていると、先手からの仕掛けは難しいというのがあります。
なので、パスをして後手の陣形が崩れた時に仕掛けるという駆け引きをここまでやってきたのですね。
穴熊にするというのが広瀬八段の新構想でしたが、果たして……。
後手は先手の攻めを全部受け止めてまずまずかと思われました。
羽生王位の次の一手は、▲5三桂成。
駒損の攻めです。
広瀬八段は大丈夫と読んでいたそうですが、この後の展開を考えると成立していたようです。
感想戦でも、「成立していたのは誤算」と、おっしゃっています。
後手も反撃に出て、容易に崩れません。
△9五歩は「取れないようでは変」と、羽生王位の感想があるように、難解な将棋に見えました。
控室の船江恒平五段が、ここで▲2四飛~▲2三歩を指摘していて、終局後それを聞いた両対局者は納得されていたそうです。
ソフトの評価値も▲2三歩の局面で3000辺りをつけています。
先手優勢の終盤戦ながら、きわどい局面が続きます。
そんな中、▲4四歩と垂らした羽生王位。
これで良ければ話は早い、という手です。
▲4三歩成は詰めろではありませんが、それよりも速い攻めが後手にないことを見越しています。
持ち駒がたくさんあって怖いところですが、▲4四歩でいけると決断した羽生王位の終盤力、いやはや、良いものを見せていただきました。
開幕2連勝を決めた羽生王位。
この勝利で、通算勝数歴代2位タイを達成されています。
40代の通算勝ち数トップ10入りは、佐藤康光九段と2人だけ。
トップ棋士であるその佐藤九段と、なんと350勝以上の差をつけています。
羽生王位の驚異的な記録にただ感銘を受けるばかりです。
次局は広瀬八段の先手番です。
戦型は何を持ってくるかわかりませんが、ここまでの傾向から居飛車系統になると予想します。
第56期王位戦七番勝負第3局
羽生善治(はぶ・よしはる)王位 対 広瀬章人(ひろせ・あきひと)八段
2015年8月5・6日(水・木)
9:00~
<六園荘>北海道釧路市浦見6-3-8
立会:屋敷伸之(やしきのぶゆき)九段
副立会:阿久津主税(あくつちから)八段
記録係:梶浦宏孝(かじうらひろたか)四段
大盤聞き手:中井広恵(なかいひろえ)女流六段
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