王位戦

羽生善治名人が王位を防衛!

羽生善治王位に広瀬章人八段が挑戦していた第56期王位戦七番勝負。
第5局は124手で羽生王位の勝ちとなりました。
シリーズ成績を4勝1敗とし、羽生名人が王位を防衛しました。

では、第5局を振り返りましょう。

第56期王位戦七番勝負第5局-1

第5局は広瀬八段の先手番。
羽生王位の2手目△8四歩に対して、角換わりでカド番に臨みました。
ここでの▲2五歩は、▲4八飛のほうが実戦例が多い印象ですが、用意してきた形があることが伺えますね。
△7三桂とすると先後同型になりますが、本局の羽生王位は△2二玉と待機する指し方を選びました。

 

第56期王位戦七番勝負第5局-2

どこから攻めの糸口を見つけるかが角換わり先手番の命題です。
今回の広瀬八段は▲4八金+▲2九飛型を目指しました。第2局で羽生王位が作った攻めの形です。
ただし、左側の形が違うので、好形は許さないと△6五歩と仕掛けました。
▲2九飛まで入ると後手から仕掛けづらくなってしまうので、ここがタイミングといえるでしょう。

 

第56期王位戦七番勝負第5局-3

17時40分頃、記録係に図面を書いておいてくださいと伝えた羽生王位。
そこから突如長考が始まり、封じたのは封じ手時刻の52分後でした。1時間23分の長考でした。
ここで当初は△3九角を考えていた羽生王位でしたが、誤算があったそうで、△6九角に代えています。
この辺りの修正力は、さすがトッププロですね。
ちなみに、いずれの角打ちも▲2九飛が入っていると指せないので、やはり前図で仕掛けるのがタイミングだったことが分かります。

 

第56期王位戦七番勝負第5局-4

封じ手の辺りについて、「玉頭の反撃が思いの外きつくて」と、いう羽生王位の感想があります。
つまり、この辺りは広瀬八段が上手くやっているということで、試しにソフトに聞いてみたら5、600点台で先手良しと評価値が出ました。
ここで広瀬八段は▲5一角成で寄り、と思っていたそうです。
ところがご本人いわく、読み抜けがあったそうで、▲4三桂成から軌道修正しました。
第3局で光った終盤力を見ているだけに、惜しまれる読み抜けでした。

 

第56期王位戦七番勝負第5局-5

局面が落ち着いたものの、ソフトの評価は先手有利の終盤戦。局面は銀桂交換で先手駒得ですので、後手はどうするかです。
羽生王位の次の一手は△4八と。
このと金を使っていくのが地味ながら大事な考え方で、悪いながらも離されずについていった羽生王位がこの後逆転に成功し、王位防衛となりました。

 
今シリーズを4勝1敗で終えた羽生王位。
対局直後には「苦しい将棋も多かったですし、第3局もひどいミスで色々反省するところが多いシリーズだった気がします」とおっしゃっています。
今期の防衛で、王位5連覇、通算17期の獲得となりました。
通算獲得タイトル数も93期に伸ばし、歴代1位記録を更新中です。

9月からは王座戦の防衛戦も始まり、相変わらずお忙しい羽生名人ですね。
今後のご活躍も期待しております。
羽生名人、王位防衛おめでとうございます!

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