11月16日(日)に将棋日本シリーズJTプロ公式戦の決勝戦が行われ、102手で渡辺二冠が勝ちました。
渡辺二冠は意外にもこの棋戦初優勝です。
では、決勝戦を振り返りましょう。
振り駒の結果、羽生名人の先手になりました。
渡辺二冠の2手目△8四歩に対して、矢倉を目指しました。
解説の藤井九段がおっしゃる通り、「2人の将棋はそのまま定跡になります」
とくに矢倉ではその印象が強く感じます。
先手が▲4六銀・▲3七桂型を目指したのに対して、△4五歩と反発するのが最近見直された指し方です。
電王戦タッグマッチ2014でこの筋が登場し、それを解説していた渡辺二冠がA級順位戦で採用し、勝ったのは記憶に新しいところですね。
局後の感想によると、この△7三桂あたりは事前の研究通りとのこと。
羽生名人が短い時間で出した答えは▲6八銀。
事前に桂跳ねの当たりを避け中央を厚くする手です。
ところがこれがあまり良くなかったといいます。
代わる手は示されていませんでしたが、ここからの進行を考えるとここが分岐点だったようです。
後手は4九に打った角を飛車に換え、拾った香車を7七に打ち込みました。
得した駒で攻め、相手には大した攻めがない。
アマチュアでもずいぶんと後手が勝ちやすい将棋でしょう。
羽生名人相手に完勝と言ってもいい内容で、渡辺二冠の優勝が決まりました。
今まで優勝がないことが不思議に思えるほどの実績を持っている渡辺二冠。
初優勝、おめでとうございます!