11月15日(日)に東京都で行われたJTプロ公式戦決勝戦。
99手で三浦九段の勝ちとなりました。
三浦九段はJT杯初優勝です。
では、決勝戦を振り返りましょう。
振り駒の結果、三浦九段の先手番となりました。
深浦九段の2手目△8四歩に対して、角換わりを目指しました。
お互いに腰掛け銀にして先後同型になりそうでしたが、△9四歩を省略したのが最近流行っている工夫らしく、その一手を仕掛けに回そうというのが狙いです。
実戦も図から△6五歩と仕掛けました。
図は3七にいた桂馬を歩頭に跳ね出したところです。
先手としては先に桂得しており、桂馬を4五で取らせることで▲4四桂を作ろうという狙いです。
この桂馬は終盤まで残って玉の退路をふさいでおり、とても働きました。
歩頭に跳ね出した桂馬を生かして▲5三桂成もありましたが、三浦九段はさらに過激に▲4三桂と打ち込んでいきました。
△同金右は▲5一龍、△同金左は▲3九香があります。
鋭い手が出て先手優勢を思わせますが、形勢は意外と難解です。
後手は△2二玉と逃げて頑張ります。
▲3一銀の追撃にここが形勢の分かれ道でした。
実戦は△1三玉でしたが、△1二玉なら後手良しといいます。
本譜は△1三玉としてしまったため、▲3九香に△5六角成▲3二香成が詰めろになってしまうのです。
△1二玉なら▲3二香成が詰めろにならず、後手良しとのことでした。
解説の森下九段が「△9四歩と突いていないから詰まない、というふうにしたいですね」とおっしゃっていました。
意味合いは違いますが、先手が▲9六歩と突いてあるので詰まない、という局面がここです。
▲3九香に対して△5六角成は▲3二香成で後手玉が詰めろになるというのは前述の通りですが、もし▲9六歩が突いてなければ△5六角成が詰めろになります。
端歩ひとつで勝敗が入れ替わるのが、将棋の難しいところでもあります。
この結果に深浦九段は何を思ったのでしょうか。
三浦九段はJT杯初優勝。
棋戦優勝は2002年のNHK杯以来となります。
タイトルの経験もある三浦九段にしては意外な戦績ですね。
来期はJT杯覇者としての出場権を獲得し、嬉しいとのコメントを残されています。
三浦九段、JT杯優勝おめでとうございます!