里見香奈女流王座に加藤桃子女王が挑戦している第7期女流王座戦五番勝負。
第3局は117手で里見女流王座の勝ちとなりました。
シリーズ成績を1勝2敗とし、カド番をひとつしのぎました。
では、第3局を振り返りましょう。
第3局は里見女流王座の先手です。初手▲5六歩で中飛車を宣言し、図の局面までノータイムで飛ばした里見女流王座。
対する加藤女王も角道を開ける手に5分考えただけで、それ以外はここまでノータイムと両者の気合と研究がぶつかり合いました。
細かい手順は違えど、第1局とほぼ同一局面に。違いは▲1六歩が▲7五歩に変わっています。
この手を見た加藤女王は約30分の長考に入りました。
感想戦によると前図の▲7五歩が上手い仕掛けだったとのことで、先手がペースを握った将棋だったようです。
図は7七の角を▲9五角と出たところ。この手は「幽霊角」という名前がついており、居飛車側からすると桂取りが受けづらく「端歩は居飛車の税金」という言葉もあるくらいです。
他にも▲9五角と出るところでは▲6六歩や▲7四歩もあったそうで、どの手でも先手指しやすいとのことです。
局面は進み△9四歩と角の進退を聞かれた里見女流王座。よく見ると角の行き場所がありません。
実戦は▲7三角成~▲6五桂~▲5三桂成と進みました。
▲7三角成で瞬間的には角桂交換ながら▲5三桂成で駒損を少し回復しました。さらに、8三の銀の働きが弱いことと、と金を作れるというプラス材料を鑑みてこの手順を組み立てています。
先手は5三にと金を作り、中央を制圧していますが、歩切れでもあり、難解な局面です。
歩切れの解消を目指しつつ△2四角を消した▲3六桂がなるほどの手。ここでは▲2六桂もありそうとニコニコ生放送の戸辺七段が解説されていました。
対する加藤女王は1分で△3五歩の催促を決断。攻めっ気の強い加藤女王らしい手段でしたが、その後3六をうまく攻めることができず、この辺りで形勢は先手に大きく傾いたようです。
代えて感想戦で出た△3五角やソフト指摘の△9五角が有力とのことです。
先手優勢の終盤戦です。自玉が薄く、決めるとなると大変です。里見女流王座は▲7六歩と角に働きかけました。逃げてくれれば4二のマス目の数が減るので寄せやすくなります。
加藤女王は図から△8七歩成と踏み込み、△7七と~△8八飛成と猛追を見せました。
この△7七とが金取りに当たるので、感想戦では▲7六歩では▲7六金と角を追えばより明快、との結論に至りました。
里見女流王座が1勝を返し、反撃の狼煙をあげました。
加藤女王は感想戦で地元静岡での敗戦に悔しがっていらっしゃったのが印象的です。
第4局も注目の一戦ですね。
戦型予想は超速▲3七銀VSゴキゲン中飛車が大本命です。
第7期女流王座戦五番勝負 第4局
里見香奈(さとみ・かな)女流王座 対 加藤桃子(かとう・ももこ)女王
2017年12月8日(金)
<将棋会館>東京都渋谷区千駄ヶ谷2-39-9
立会:屋敷伸之(やしき・のぶゆき)九段
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第7期女流王座戦 第4局 里見香奈女流王座 vs 加藤桃子女王 五番勝負
解 説:大平武洋(おおひら・たけひろ)六段
聞き手:千葉涼子(ちば・りょうこ)女流四段