郷田真隆王将に羽生善治名人が挑戦している第65期王将戦七番勝負。
第4局は98手で郷田王将の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2勝2敗とし、白熱した展開になっています。
では、第4局を振り返りましょう。
第4局は羽生名人の先手番です。
郷田王将の2手目△8四歩に対して、▲2六歩から角換わり腰掛け銀を目指しました。
▲4八飛と回る手に対して多く指されているのは△4二金右ですが、△7三桂と攻撃的に指す手法も指され始めています。
桂頭が危なく見え、実戦例もここから▲4五歩△同歩▲7五歩△同歩▲4五桂という指し方が多く、それを踏まえたうえで、「これもどうなんだろうと思って」と、羽生名人は▲4五歩△同歩▲同銀と仕掛けました。
前述の仕掛けに対して自然に対応するとこうなる局面。ここがひとつめのポイントでした。
攻めの候補手としては、▲5三桂成、▲4一銀、▲7一角あたりで、これらをどう組み合わせるかです。
本譜は▲7一角からでしたが、感想戦では▲5三桂成~▲4一銀の手順を「やるべきだったかもしれませんね(羽生名人)」とのことでした。
先手は調子よく攻めているようですが、冷静に駒の損得を数えると、金と角桂の2枚換えで後手のほうが大きく得をしています。また、4枚の攻めは切れないといいますが、現状では飛金銀歩の4枚で、相当細い攻めと言えます。
実戦では▲2二金~▲4二飛成と龍を作りましたが、それでも攻めの細さは目立ちます。
感想戦ではここで▲4一銀や▲3一金という手も検討され、いずれも先手は自信が持てない展開となるとのことです。
小康を得た郷田王将は、歩の突き捨てから攻めに転じます。
△8八歩が手筋の一着で、どちらで取っても味の悪い形になります。
本譜はそれでも形の良い▲8八同玉で頑張りますが、当たりが強くなり、後手良しの線がくっきりしてきました。
後手優勢の終盤戦。
非勢の羽生名人は▲4三歩と「駒が入ったら詰ますぞ」という姿勢で郷田王将の背中を追います。
しかし、郷田王将は桂捨てから合駒請求と、いとも簡単に針の穴を通すような寄せで羽生名人を寄せ付けません。
以下の手順も、セオリーとは逆が正解という正確な読みが必要なもので、アマチュアには見応えのある収束でした。
前局の借りを後手番で返した郷田王将。
タイスコアに戻し、まさにシーソーゲームといった様相を呈しています。
次局は郷田王将が先手番ですので、初手▲2六歩から相掛かりか角換わりが予想されます。
戦型予想は、どちらかといえば相掛かりとしてみます。
第65期王将戦七番勝負第5局
郷田真隆(ごうだ・まさたか)王将 対 羽生善治(はぶ・よしはる)名人
2016年3月13・14日(日・月)
9:00~
<都ホテルニューアルカイック>兵庫県尼崎市昭和通2-7-1
立会:淡路仁茂(あわじ・ひとしげ)九段
副立会:稲葉陽(いなば・あきら)八段
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