棋王戦

第41期棋王戦五番勝負第4局

渡辺明棋王に佐藤天彦八段が挑戦する第41期棋王戦五番勝負。
第3局は170手で渡辺棋王の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2勝1敗とし、防衛まであと1勝としました。

では、第3局を振り返りましょう。

第41期棋王戦五番勝負第3局-1

第3局は佐藤八段の先手番です。
戦型に注文を付けたのは、渡辺棋王。2手目△3四歩、4手目△5四歩からゴキゲン中飛車にしました。
消費時間を見る限り佐藤八段の指し手はよどみなく、ふだんの研究通りといったところでしょうか。
渡辺棋王のゴキゲン中飛車といえばこの銀対抗が多い印象で、第63期王将戦ではこの戦型で防衛を決めています。

 

第41期棋王戦五番勝負第3局-2

渡辺棋王といえば穴熊、というイメージがあり、本局もそうなりました。
先手も穴熊に組み、あとは攻め駒をどうするかが焦点となります。
図で△7四歩と突いたのが、「堂々とした手(現地解説の田中九段)」で、先手の攻めを受けて立ちました。この辺りについて渡辺棋王は、「本譜は少しまずかった」という感想を残しています。

 

第41期棋王戦五番勝負第3局-3

機敏な仕掛けで▲4三銀不成と角取りに入ることのできた佐藤八段。角銀交換よりもさらに得をしようと▲5四歩と打ちました。
通常であれば、「取りに取りを重ねる手」はあまり良くないとされるものです。しかし、この場合は好着想で、渡辺棋王も「ダブっていると思ったけれど、そうではなかった」と感想戦でおっしゃっています。
駒得が確定し、佐藤八段が局面をリードしました。

 

第41期棋王戦五番勝負第3局-4

劣勢になった渡辺棋王は先手の右桂を狙い、佐藤八段はそれを捨てて角の利きを通しました。
△3七歩成が見えているので先手は忙しそうで、実戦も▲6四歩から速い攻めを目指しました。
ところが、この後の展開を考えると、ここで▲1一角成が良かったそうで、1手遅い感じがあるので両対局者はあまりこの手を深く掘り下げなかったといいます。

 

第41期棋王戦五番勝負第3局-5

局面は銀得ながら、玉の堅さと手番は後手。
形勢は一時期から比べると互角に戻ったと考えるのが妥当のようで、感想戦でも渡辺棋王は「互角くらいに戻ったかと思った」と、おっしゃっています。
「攻めがないんですよね。」と、いう佐藤八段の言葉通り、先手から有効な攻めが難しく、後手からは△5六角~6七と、と分かりやすい手段があります。
ここから約90手と手数はずいぶんと掛かりましたが、先手にチャンスらしいチャンスがなく、刀折れ矢尽きたところで佐藤八段の投了となりました。

 
周囲の予想を裏切るゴキゲン中飛車で1勝を挙げた渡辺棋王。防衛まであとひとつです。
カド番の佐藤八段は、次局後手番です。
戦型予想は、渡辺棋王が飛車を振らない限り、横歩取りになるでしょう。
 
 
第41期棋王戦五番勝負第4局
渡辺明(わたなべ・あきら)棋王 対 佐藤天彦(さとう・あまひこ)八段
2016年3月21日(土)
9:00~
<宇都宮グランドホテル>栃木県宇都宮市西原町142
立会:西村一義(しにむら・かずよし)九段
解説:戸辺誠(とべ・まこと)六段
聞き手:山口恵梨子(やまぐち・えりこ)女流初段

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第41期棋王戦 五番勝負 第4局 渡辺明棋王 vs 佐藤天彦八段
解説:深浦康市(ふかうら・こういち)九段
聞き手:中村桃子(なかむら・ももこ)女流初段

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