マイナビ女子オープン

加藤桃子女流二冠が女王を防衛!

加藤桃子女王に室谷由紀女流二段が挑戦していた第9期マイナビ女子オープン五番勝負。
第4局は93手で加藤女王の勝ちとなりました。
シリーズ成績を3勝1敗とし、タイトル防衛です。

では、第4局を振り返りましょう。

第9期マイナビ女子オープン五番勝負第4局-1

第4局は加藤女王の先手番です。
加藤女王の居飛車に、室谷女流二段は4→3戦法を採用しました。
指し手が進み、図は第73期A級順位戦▲渡辺△久保戦と同一局面に。その将棋は△2五歩▲同飛△2四飛とぶつけたものの、一方的に攻められて69手で先手が勝っています。
室谷女流二段の新研究は△2五歩▲同飛△2三歩で、次に△2四飛とぶつけたり、△3六歩から飛車先の歩を交換する狙いがあります。

 

第9期マイナビ女子オープン五番勝負第4局-2

室谷女流二段の新研究に、加藤女王の答えは9筋攻めでした。2五飛型を活かして、▲9五飛のような手を含みにしています。
ただ、感想戦によると「本譜はやりすぎてしまった」とのことで、意外と戦果が挙がらなかったことが誤算だったのかもしれません。
ここから香車を取れたのは14手後になり、本譜はその間に後手にもポイントを稼がれてしまいました。

 

第9期マイナビ女子オープン五番勝負第4局-3

お互いに龍を作り合いましたが、後手の龍のほうが働きが良く、また角の働きにも差があるので、後手が指しやすい形勢です。
龍桂両取りの△2六角でさらにリードを奪おうとする室谷女流二段。ここでは△2六角に代えて△3六歩もあったそうです。
この角打ちに対して実戦は▲5四龍と逃げましたが、このタイミングで▲4四歩を利かしておく方が良かったといいます。図から▲4四歩△同銀▲5四龍であれば、△3七角成に対して▲4四龍△同歩▲3二角成、と2枚換えの筋があり、本譜より良かったそうです。
とはいえ、7六の角は端攻めのために打った角であり、なおかつ3筋の金銀を相手にする手はなかなか思い浮かびづらい発想ではあります。

 

第9期マイナビ女子オープン五番勝負第4局-4

ようやく9筋の香車を取り、玉頭に▲8六香と打って攻めを見せた加藤女王。しかし、後手にと金を作られ、この辺りは「どうしていいかわからなくなった」といいます。
玉頭攻めを見せられた室谷女流二段は「馬は自陣に引け」の格言通り△7三馬と引きました。
手厚い一手に見えましたが、後の▲6五桂を与えて損だったようです。「大駒は遠くにありて利かすもの」という言葉もあり、将棋の難しさを感じます。

 

第9期マイナビ女子オープン五番勝負第4局-5

0手で▲6五桂が入り、7三の香車が質駒になったことで、ぐっと差が縮まった印象のある終盤戦です。
△5九とが次に△5八龍~△6九角のような筋を狙っており、先手玉は危険が迫っています。そこで指された▲8六銀が先手玉の逃げ道を広げながら後手玉に詰めろをかけた一着で、この手に控室では歓声が上がったそうです。
加藤女王もこの手で勝ちを意識したとのことで、いくばくもなく室谷女流二段の投了となりました。

史上初の3連覇を果たした加藤女王。
シリーズを振り返り、「結果は3連敗でもおかしくない」とおっしゃっています。確かに4局とも室谷女流二段が形勢をリードしていました。それでも結果を残すあたりはさすがタイトルホルダーですね。
直近の奨励会例会では2連勝しており、こちらも注目です。

加藤桃子女流二冠、女王防衛おめでとうございます!

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