名人戦

第74期名人戦七番勝負第5局

将棋羽生善治名人に佐藤天彦八段が挑戦している第74期名人戦七番勝負。
第4局は129手で佐藤八段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を3勝1敗とし、奪取まであと1勝となりました。

では、第4局を振り返りましょう。

第74期名人戦七番勝負第4局-1

第4局は佐藤八段の先手番です。
2手目△8四歩から5手目まで角換わりの出だしでしたが、後手の羽生名人は変化して横歩取りに誘導しました。
居飛車党の場合、先後両方とも持ってみるというケースがあります。また佐藤八段の研究を見ることができるというのもひとつのメリットです。
個人的には羽生名人が2日制のタイトル戦で横歩取りの後手番を持って指すことを珍しいと感じていて、戦型選択の駆け引きを想像するのもひとつの楽しみ方といえそうです。

 

第74期名人戦七番勝負第4局-2

 
端歩の関係を除けば、ある程度の前例がある形になりました。
17日に行われた王位戦挑戦者決定リーグの▲木村△森内戦も、端歩を除けばほぼ同一の進行です。その将棋は先手が勝っており、後手に工夫が求められると考えるのが自然でしょう。羽生名人の新構想はいかに。

 

第74期名人戦七番勝負第4局-3

羽生名人の構想は、銀冠に組むことでした。
しかし、その銀が9四~8三~7四~6三と移動し、ずいぶんと手損をした印象があります。
また、玉の堅さや駒の働きは先手の方が良く、この辺りは先手の方が指しやすい局面といえます。
この後、4二の角、4三の金、3二の銀、2一の桂は終局まで動くことがありませんでした。

 

第74期名人戦七番勝負第4局-4

盤の半分から右側は、後手の駒は働きの弱い駒がたくさんいるのに対して、先手の駒はよく働いています。
さらに8四の歩が拠点として輝いており、それを活かすべく佐藤八段は角銀交換を挑んでいきます。
羽生名人としても守りの銀と交換なので辛いところです。

 

第74期名人戦七番勝負第4局-5

拠点を最大限に活かすように、▲8六飛や▲7一銀を入れた佐藤八段。さらに▲6三歩と手裏剣が飛びます。
△同飛は是非ないところですが、続く▲8三飛成が鮮烈な一手でした。ずいぶんと細い攻めですが、後手玉は7筋から左だけを考えればよく、右側の駒たちが全く機能していないことを踏まえると十分に成立しています。
以下、羽生名人の怪しい手をかいくぐった佐藤八段が後手玉を寄せ切り、3勝目を挙げました。

 
第5局の戦型予想は、羽生名人が先手番ですので佐藤八段が横歩取りに誘導することでしょう。
ここまで横歩取りを避けなかった羽生名人ですので、受けて立つのが最有力ですね。
 
 
第74期名人戦七番勝負第5局
羽生善治(はぶ・よしはる)名人 対 佐藤天彦(さとう・あまひこ)八段
2016年5月30・31日(月・火)
9:00~
<天童ホテル>山形県天童市鎌田本町2-1-3
立会:中村修(なかむら・おさむ)九段
朝日副立会:村山慈明(むらやま・やすあき)七段
毎日副立会:野月浩貴(のづき・ひろたか)七段

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第74期名人戦七番勝負 第5局 初日 羽生善治名人 vs 佐藤天彦八段
解説:田中寅彦(たなか・とらひこ)九段
聞き手:竹部さゆり(たけべ・さゆり)女流三段

第74期名人戦七番勝負 第5局 2日目 羽生善治名人 vs 佐藤天彦八段
解説:田村康介(たむら・こうすけ)七段
聞き手:山口恵梨子(やまぐち・えりこ)女流二段

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