羽生善治王座に佐藤天彦八段が挑戦している第63期王座戦五番勝負。
第1局は109手で羽生王座の勝ちとなりました。
では、第1局を振り返りましょう。
振り駒の結果、先手は羽生王座に決まりました。
後手の佐藤天八段は2手目△3四歩から横歩取りに誘導し、羽生王座もそれに乗りました。
最近、横歩取りでの囲いはバリエーションが増えましたね。
本局は、相中住まいで▲3八銀△7二銀の組み合わせでした。
そして、お互いに桂馬を跳ねて攻撃態勢を作るのですが、羽生王座の方は端に跳ねています。
後手の攻めを警戒して、飛車の横利きを通したままにしたものです。
セオリーは▲3六歩~▲3七桂ですが、臨機応変に構えた羽生王座でした。
前図から佐藤天八段が仕掛けて中盤に突入しました。
△4五角の筋違い角と△8六歩の組み合わせで攻めを組み立ててきた後手に対して、羽生王座の▲5六歩は角道を止め懸命の受け。
本譜は△8七歩成とプロらしい指し回しでしたが、ここでは派手に△2七角成も成立していたそうです。
先手としては両方警戒しておかなくてはいけないので、形勢うんぬんは別として、後手のほうが気分が良さそうです。
後手の攻め、先手の受けという展開が続き、ギリギリの攻防です。
タダで角が取れるところに△7六歩と金を呼び寄せるのが気づきにくい手筋の歩でした。
対して、▲7六同金△7七成銀▲同金△6八角となると先手玉に必至がかかりますが、2回目の▲同金を▲5七歩に変えれば先手もやれるそうです。
羽生王座も読まれていて、「本譜とどちらがいいか分からなかった」という感想を残しています。
後手の攻めをひとまずかわし、どこから手を付けるかという局面。
羽生王座の答えはとても明快でした。玉の側の金を攻めるのは、基本中の基本ですね。
対して、「取るしかなかったですか」という佐藤天八段の感想もありましたが、▲3五香~▲7四桂で先手良しとされたそうです。
ちなみに、△6二同金の変化をソフトに聞くと▲7四桂~▲6二歩~▲8二銀と金を攻め続ける手順を示しており、こちらもなるほどの攻めです。
後手の攻める展開をかわし、反撃を決めた羽生王座が押し切りました。
次局は佐藤天八段の先手番です。
おそらく羽生王座が横歩取りに誘導することはないんじゃないかと思うので、矢倉か角換わりになると予想します。
第63期王座戦五番勝負第2局
羽生善治(はぶ・よしはる)王座 対 佐藤天彦(さとう・あまひこ)八段
2015年9月17日(木)
9:00~
<ウェスティンホテル大阪>大阪府大阪市北区大淀中1-1-20
立会:福崎文吾(ふくさき・ぶんご)九段
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第63期王座戦五番勝負 第2局 羽生善治王座 vs 佐藤天彦八段
大盤解説は13:00~
解説:戸辺誠(とべ・まこと)六段
聞き手:井道千尋(いどう・ちひろ)女流初段