加藤桃子女流王座に里見香奈女流四冠が挑戦している第6期女流王座戦五番勝負。
第2局は95手で里見女流四冠の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2連勝とし、奪取まであと1勝としました。
では、第2局を振り返りましょう。
第2局は里見女流四冠の先手番です。初手▲5六歩から中飛車を選択しました。
対する加藤女流王座は居飛車穴熊へ。最近では堅さ負けしないように中飛車側も穴熊に組む将棋が多い印象があります。
本局は美濃囲いで早い動きを見せる構想です。
里見女流四冠は▲6五銀から▲5四歩と分かりやすく仕掛けていきました。
先手の仕掛けに対して加藤女流王座は△6四歩から先手の銀に働きかけ、△5四金~△4五金と守りの金で力強く受けました。
図は当たりになっていた飛車を5七に引いたところ。加藤女流王座はこの手を「1秒も考えなかった」とのこと。▲2六飛なら△8六歩から攻めるのが予定だったそうです。
実戦は▲5七飛に△6三銀と飛車の横利きを通し、駒の活用を図っていきます。
うちのソフトは△2四角を推奨しており、こちらも角の働きが良くなるので十分に考えられます。
中央で駒交換が行われ、ガラ空きになった8筋。そこに攻め込む△8六歩は自然な発想に見えますが、間に合うかどうか微妙です。
本譜は▲4四角△5二銀打▲5四歩と中央から殺到し、飛車切りから馬を作ったところでは居飛車が苦しい形勢になりました。
ゆえに△8六歩は間に合わない、と感想戦でのコメントが残っています。
▲5四歩から飛車を切って馬を作って先手良し、は前述の通りですが、控室の稲葉八段は▲5四歩に代えて▲7七桂を指摘していました。
左桂を活用する味の良い一手で、振り飛車党なら指がしなりそうですね。
受けなければ▲6五桂から中央へ殺到、受けられたら、一回▲8六歩と手を戻しておき、▲5五飛~▲8五飛とぶつける手段も見越しています。こちらは駒損しない分、アマチュアでも真似しやすそうです。
中盤の折衝で大きく駒損をしてしまった後手は、玉の堅さを頼りに猛攻に出ます。
美濃囲いに対する△4八歩は▲3九金が部分的にセットの手順です。以下、△4九銀と攻めを継続しますが、その瞬間に攻め合って、先手の1手勝ちとなります。
ただ、5八の金をタダで取らせているので、図の局面では▲5九金寄とこちらに逃げたほうがより良かったようです。
中飛車で連勝を飾った里見女流四冠。奪取まであと1勝、女流五冠復帰も視野に入ってきました。
カド番の加藤女流王座は苦しい展開ですが、しばらく時間が空きますので入念な準備をしてシリーズを盛り上げてくださることでしょう。
次局も戦型は居飛車対中飛車と予想します。
第6期女流王座戦五番勝負 第3局
加藤桃子(かとう・ももこ)女流王座 対 里見香奈(さとみ・かな)女流四冠
2016年11月25日(金)
<浮月楼>静岡県静岡市葵区紺屋町11-1
立会:屋敷伸之(やしき・のぶゆき)九段
記録:高浜愛子(たかはま・あいこ)女流2級
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