9月5日(土)に広島県で行われた、JTプロ公式戦二回戦第二局。
297手の持将棋指し直しの末、75手で渡辺明JT杯覇者の勝ちとなりました。
では、第二局を振り返りましょう。
振り駒の結果、行方八段の先手番となりました。
渡辺JT杯覇者の2手目△8四歩に、矢倉を目指しました。
早囲いから41手目まで名人戦第5局と同一局面。その時の羽生名人は△8四銀でした。
今回の渡辺JT杯覇者は△7五歩と手を変えました。研究であることは間違いないでしょう。
どういった進行になるか興味深いところです。
やはり先手が攻め、後手が受ける展開になりました。
今、行方八段が継ぎ歩をしたところ。
歩があれば、誰でも▲2四歩ですが、あいにく歩切れです。
そこで2四に打ったのは、なんと銀。
これも厳しい攻めで、歩がないと諦めた私には柔軟な思考だなぁと感じました。
先手の攻めに対して、入玉模様で頑張った渡辺JT杯覇者。
前例の名人戦第5局も後手玉は入玉していましたね。
本局はいろいろあったものの、先手も入玉して持将棋となりました。
5分の休憩後に指し直しとなりました。
先後を入れ替え指し直した将棋の戦型は、角換わりでした。
後手の行方八段が最近では珍しい早繰り銀を採用しました。
早々に6筋から動いたのに対して、▲6三歩成が手筋の一着。
△同飛で王手にになりますが、▲7九玉と引いておくと次に▲7二角があるので、後の先になっています。
細かいことをいうと、右銀の進出を遅らせている意味があります。
この形では6三に叩くのが急所のようで、少し前にも叩いてあります。
右でポイントを挙げた後、タイミングよく▲6二歩成が手筋の成り捨てで、インタビューではこれがうまくいったのではと聞かれていました。
見事な攻めを決めた渡辺JT杯覇者が準決勝進出を決めました。
勝った渡辺JT杯覇者は、準決勝に名古屋市で三浦弘行九段と対局になります。
勝者コメントと棋譜はこちらから。
「二回戦第二局 中国大会」勝者・渡辺JT杯覇者のコメントを掲載!
二回戦第三局は、羽生名人と豊島七段の登場です。
棋聖戦以来の顔合わせで、今度の舞台は早指し。
どうなるか注目ですね。
将棋日本シリーズ 熊本大会 JTプロ公式戦 二回戦第三局
羽生善治(はぶ・よしはる)名人 対 豊島将之(とよしま・まさゆき)七段
2015年9月12日(土)
14:50 開演予定
グランメッセ熊本 展示ホールB
熊本県上益城郡益城町福富1010
解説:井上慶太(いのうえ・けいた)九段
聞き手:香川愛生(かがわ・まなお)女流王将
読み上げ:飯野愛(いいの・あい)女流1級
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