王位戦

第58期王位戦七番勝負第2局

羽生善治王位に菅井竜也七段が挑戦している第58期王位戦七番勝負。
第1局は144手で菅井七段の勝ちとなりました。挑戦者が幸先の良い1勝です。

では、第1局を振り返りましょう。

第58期王位戦七番勝負第1局-1

振り駒の結果、先手番は羽生王位に決まりました。
「ちょっと変わったことをやろう」と思っていた羽生王位は3手目▲9六歩とご本人にしては珍しい指し方をされました。対する菅井七段は、ゴキゲン中飛車の出だしから飛車を5筋を通り越し3筋に振りました。
▲2二角成~▲5三角で先手は馬を作ることができますが、以下△3五歩~△3六歩~△5五角と後手も手持ちの角を使って反撃できるので成否は微妙です。
本譜は穏やかに▲6八玉から囲いました。

 

第58期王位戦七番勝負第1局-2

後手の陣形は角交換振り飛車のよくある形になりました。手損はしていますが、菅井七段にとって指しなれた形に誘導できたというメリットはあります。
羽生王位は「銀冠に組まれるとつまらない」と、思われたそうで、▲6六角から積極的に動いていきます。
先手は1歩得と後手の守りの歩を取り除いたメリットがある代わりに、角が使いづらいというデメリットがあります。
どうバランスを取るかがここからのテーマです。

 

第58期王位戦七番勝負第1局-3

前図からじりじりとした中盤戦が続いてます。
この辺りは「あまりやる手がない(羽生王位)」そうで、いかに崩れないかがポイントになりそうです。
図の△7五歩は歩切れを解消する狙いがあり、すんなり許すと「損かと思った」羽生王位は▲7七金寄と待ちました。
感想戦では▲7五同歩も有力とされ、この辺りの判断が難しい将棋です。

 

第58期王位戦七番勝負第1局-4

間合いを計る展開から激しく駒がぶつかり合う局面になりました。
「角を取っても嬉しくない」と、いう羽生王位は▲6四歩△8六歩と銀を取り合いました。
しかし、先手の8六銀と後手の6四銀では先手の銀の方が玉に近い分だけ価値が高く、この交換は後手に利があったようです。
図で代わる手も難しいところですが、うちのソフトは▲8五同金を推奨しています。以下△6五銀に角を取らずに別の手を指摘しており、やはり角を取っても嬉しくない局面であることがわかります。

 

第58期王位戦七番勝負第1局-5

前図あたりから形勢は後手に傾き、先手も猛烈な追い込みを見せる終盤戦となりました。
△7六歩と「と金」で攻める手を見せる後手。歩による攻めは歩でしか受からないので、後手好調な攻めと言えます。
ところが、ここでは▲6八歩という受けがあったそうです。
一見、タダですね。格言に「金は引く手に好手あり」というものがあり、金は手前にある方が働きが良いという意味です。
先手からすると、後手の金は6七より6八に来てくれた方が働きが悪くなるので、得になるという発想です。
この1マスの差で、寄せ合になった時、速度が1手違ってくるので、▲6八歩があった、というわけですね。

 
長い中盤戦の末、挑戦者の先勝となりました。
羽生王位の巻き返しにも期待ですね。
戦型予想は今期、振り飛車のシリーズとなりそうです。
 
 
第58期王位戦七番勝負第2局
羽生善治(はぶ・よしはる)王位 対 菅井竜也(すがい・たつや)七段
2017年7月25・26日(火・水)
<ホテル日航福岡>福岡県福岡市博多区博多駅前2-18-25
立会:青野照市(あおの・てるいち)九段
副立会:豊川孝弘(とよかわ・たかひろ)七段

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