糸谷哲郎竜王に渡辺明棋王が挑戦している第28期竜王戦七番勝負。
第3局は123手で渡辺棋王が勝ちました。
シリーズ成績を2勝1敗とし、渡辺棋王が一歩リードです。
では、第3局を振り返りましょう。
第3局は渡辺棋王の先手です。
糸谷竜王は4手目△3二金として、一手損角換わりを目指しました。
第2局は同じ出だしで横歩取りになりましたね。
一手損角換わりで△4二飛と回るのは、棒銀対策としてよく見られる手法です。
しかし、2筋の歩交換をさせて、なおかつ△2三歩を打たない形の前例は「なかったと思います(糸谷竜王)」とのことです。
本局の感想戦コメントを見ていると、両者の読み筋の食い違いが多く見られました。
例えば、飛車交換後の▲5五桂について、糸谷竜王は「▲5五桂に変えて▲4一飛で△3一飛しかないけれど、それでは負けかな」と、思っていたそうです。
対する渡辺棋王は、「(糸谷竜王の言う筋は)切れるのが怖いのでやらない、▲5五桂が良い手に見えた」という旨の感想を残しています。
数手進み、△2八飛と王手をされた局面。
渡辺棋王は「全く意味が分からなかった」と言い、糸谷竜王は「まさか2八飛の形で△5二銀と引けるとは思っていなかった」と、言います。
この辺りも読みの食い違いが見られますね。
△2八飛に対しては▲3八歩と中合いをしてから▲6八歩と受けておけば、2二の銀にひもがついていないので龍が捕まることはありませんでした。
糸谷竜王は狙い通り龍を捕まえました。
その代償を取りに▲9五角からコビン攻めに出る渡辺棋王。
龍を取って自然に見える△4二香が形勢を損ねる一手になったのですから、将棋は難しいです。
ここでも△8四桂と中合いのような手で大駒を近づけて、後の攻めを遅らせたほうが良かったとのことです。
金を取れるこのタイミングで、渡辺棋王は6六の桂馬を左の金で取りました。
9五の角の利きが自陣に通り、馬当たりになる攻防手。
糸谷竜王はこのタイミングで取られるのをうっかりしたそうです。
たしかに、金取りの局面ですから、金を取る手から考えてしまいます。
この後、入玉模様で粘る糸谷竜王を振り切った渡辺棋王の勝ちとなりました。
次局は糸谷竜王の先手番です。
戦型予想は、渡辺棋王の2手目△8四歩と思われますが、角換わりを受けるのか、横歩取りにするのか。
棋王のブログに「将棋って相手陣を攻める手を読まないと楽しくないですし。」と書かれているので、横歩取りが有力と予想します。
第28期竜王戦七番勝負第4局
糸谷哲郎(いとだに・てつろう)竜王 対 渡辺明(わたなべ・あきら)棋王
2015年11月19・20日(木・金)
9:00~
<吉川屋>福島県福島市飯坂町湯野字新湯6
立会:中村修(なかむら・おさむ)九段
解説:真田圭一(さなだ・けいいち)七段
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第28期竜王戦 七番勝負 第4局初日 糸谷哲郎竜王 vs 渡辺明棋王
解説:神谷広志(かみや・ひろし)八段
聞き手:安食総子(あじき・ふさこ)女流初段
第28期竜王戦 七番勝負 第4局2日目 糸谷哲郎竜王 vs 渡辺明棋王
解説:森下卓(もりした・たく)九段
聞き手:貞升南(さだます・みなみ)女流初段