第10期マイナビ女子オープン五番勝負第3局

第2局は上田女流三段の先手番です。初手▲５六歩と中飛車宣言の出だしに、加藤女王は角道を開けずに駒組みを進めました。
これは超速▲３七銀戦法を後手番でやろうという狙い。角道を開けないことが戦法成立の条件となるのですから、将棋とは不思議なものです。
それを見て、角道を止めたのが細かい駆け引き。
序盤から見どころの多い将棋です。

先手は指したい手がたくさんあり、例えば▲３六歩や▲１六歩は美濃囲いを発展させる好手段ですね。
後手としてはそれを許すと形勢はともかく戦いづらくなるので、動けるなら動きたいところです。
この△７五歩は「ここで仕掛けられるとは思っていませんでした」という上田女流三段の感想があるように、完全に虚を突かれたそうです。

前図から先手は角を成り、後手は飛車を成っての攻め合いになりました。
後手は７四の銀や８一の桂が遊んでいるので攻めの手段に乏しく、とりあえず△９九龍と香車を補充するくらいかという局面。
そこでズバッと切った△４九龍が鮮烈な一手でした。加藤女王らしい攻めの手です。継続手はいかに？

前図から▲同飛△４八歩▲同飛△５七金でこの局面になりました。
２四の角が４六の金をねらっていて、負担になっているところが先手の辛いところです。
負担になっているのなら、と、▲４七金の引く手はあったそうで、感想戦では△４六桂▲４九銀でまだまだ大変となったそうです。
本譜は▲４九飛打と自陣飛車で踏ん張りました。

前図から後手は飛車を取り、返す刀で△６八飛と打ちました。タダです。
しかし、▲同飛には△４六角と金を取った手が飛車取りと△３六桂を狙っており、後手玉が堅いので後手勝勢となります。
実戦は▲４七飛とさらに辛抱を重ねた上田女流三段でしたが、△４五歩から加藤女王の攻めが止まらず、後手の勝ちとなりました。