名人戦

名人挑戦者は行方尚史八段!

3月16日(月)に行われた第73期A級順位戦プレーオフ第3局。
150手で行方八段の勝ちとなりました。
これにより、名人戦挑戦者は行方八段に決まりました。

それでは、プレーオフ第3局を振り返りましょう。

A級順位戦プレーオフ第3局-1

振り駒の結果、久保九段の先手となりました。
▲7六歩~▲7五歩と石田流を目指した手に対して、4手目△1四歩と突いた行方八段。
受けなければ、△1五歩と突き越して、居飛車にする手法です。
本譜のように受ければ、相振り飛車へ、という二段構え。
この△4四角が端の突き合いを生かす角出で、NHK杯の女流出場者決定戦、▲香川△甲斐戦でも見られました。(今年ではなく、昨年の将棋です。)

A級順位戦プレーオフ第3局-2

 
相振り飛車の経験値は久保九段のほうが高いのでしょう。
▲8六飛、▲6六角・▲7七桂の形は、相振り飛車で攻めの理想形とされていて、それを作った久保九段の作戦勝ちと言えそうです。

A級順位戦プレーオフ第3局-3

理想形から仕掛けた久保九段は、香車を捨てて攻めをつなぎます。
ただ、ソフトはこういう香捨てをあまり評価しないようで、3局解析させて、3局とも評価値が下がりました。
この後、▲8一銀成まで進めば駒得になるので香捨てもありなのですが、この局面でソフトにはそこまで読んで評価する、というわけではないようです。

A級順位戦プレーオフ第3局-4

 
△8四香と行方八段の防戦に、▲8五桂と攻めを続ける久保九段。
ニコニコ生放送の高橋九段によると、重い攻めとのこと。
王手をかけながら飛車取りを受ける一石二鳥の手に見えますが、手放してしまったことでこの後の手が難しくなっています。

A級順位戦プレーオフ第3局-5

さばきのアーティスト、本領発揮か!?という、さばきの、▲9三桂不成。
飛車を逃げる△9一飛にも、▲8一桂成!と、華麗な捨て駒で局面を良くしに行きます。
事実、このあたりは先手が良かったそうですが、この後、決め手をとらえきれませんでした。
ずっと受けに回っていた行方八段が、深夜に攻め始めて、あっという間に金無双を崩し、名人挑戦を決めました。

行方八段は、名人戦初登場です。
師匠の大山十五世名人に続き、師弟で名人位獲得となると、他に例が思い浮かびません。
羽生名人には王位戦以来の挑戦です。
借りを返すことができるか、注目のシリーズになりそうです。

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