王位戦

第57期王位戦七番勝負第7局

羽生善治王位に木村一基八段が挑戦している第57期王位戦七番勝負。
第6局は114手で羽生王位の勝ちとなりました。
シリーズ成績を3勝3敗とし、最終局に突入です。

では、第6局を振り返りましょう。

第57期王位戦七番勝負第6局-1

第6局は木村八段の先手番です。
羽生王位の2手目△8四歩に、▲2六歩と角換わりを目指しました。そこで6手目△9四歩が羽生王位の趣向です。
この手は、今期棋聖戦第5局でも後手番の羽生棋聖(王位)が指していて、いずれもカド番での採用。興味深いところです。この△9四歩は13分の考慮。それを17分の考慮で前例のない▲3八銀で返した木村八段。1日目の朝から水面下で火花が散っています。

 

第57期王位戦七番勝負第6局-2

駆け引きの末、手損のない角換わりで落ち着きました。先手陣はよく見かける形で、ここで▲4五歩と位を取ります。次に▲4六角が好位置で「すでに過去のものとなった定跡(羽生の頭脳)」と書かれています。「位を取られたらじっとしているしかない」と感想戦で明かした羽生王位。▲4五歩に対して、出たばかりの銀を△6三銀と引きました。従来の形と違うのは、後手が△8一飛・△6二金型であること。この工夫がどう影響するかが本局の見どころと言えそうです。

 

第57期王位戦七番勝負第6局-3

「じっとしているしかない」という方針通り、羽生王位は仕掛けることなく玉の引っ越しをして、右玉の好形を築きました。このあたり、「まとめ方が想像以上に難しい」という木村八段の感想があるように、先手としては手が難しい局面になっているようです。「ぴったりした手がなかった」という木村八段は2筋の歩を交換しましたが、△2七歩から逆用されてしまいました。続く△4八角では△4八歩の方が良かったそうですが、馬ができて後手良しに変わりはありません。△2七歩には64分、続く△4八角に89分と連続長考ですので、踏み込むのに相当な決断があったものと思われます。

 

第57期王位戦七番勝負第6局-4

盤面の右側で戦いが起こり、馬ができている分だけ後手ペースの中盤戦です。羽生王位が4五にいた桂馬を△5七桂成とタダ捨てしたのが図の局面。これが次の一手ばりの大技で、▲5七同金は△4五歩、▲5七同角は△同角成▲同金△4八角で金得以上が見込めます。本譜の▲9五歩と放置すれば金桂交換となるので先の変化に比べて得とはいえますが、継続手に好手段があり、後手が大きく駒得することに成功します。

 

第57期王位戦七番勝負第6局-5

後手勝勢の最終盤です。先手玉は詰まず(2手スキ)、後手玉は詰めろ(1手スキ)、という状況です。通常であれば攻めの速い先手の勝ちとなりますが、最終手の△6一玉が勝負を決める受けの一手。この早逃げで後手玉が3手スキ以上に伸び、速度が逆転します。先手玉が受けの利かない2手スキのままなので、これで後手勝ちという理屈です。

 
タイトルの行方は最終局に持ち越されました。
木村八段は過去の王位戦でタイトル奪取に王手をかけたこともあり、次局に悲願達成を懸けます。
羽生王位はカド番をまずひとつ凌ぎ、防衛に望みをつなぎます。
最終局は改めての振り駒です。
木村八段が先手なら角換わり、後手なら横歩取りに誘導するという流れできているので、それに羽生王位が乗るかどうかで戦型が決まりそうです。
 
 
第57期王位戦七番勝負第7局
羽生善治(はぶ・よしはる)王位 対 木村一基(きむら・かずき)八段
2016年9月26・27日(月・火)
<元湯 陣屋>神奈川県秦野市鶴巻北2-8-24
立会:田中寅彦(たなか・とらひこ)九段
副立会:松尾歩(まつお・あゆむ)八段

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