羽生善治王位に広瀬章人八段が挑戦している第56期王位戦七番勝負。
第1局は122手で羽生王位の勝ちとなりました
では、第1局を振り返りましょう。
振り駒の結果、広瀬八段が先手となりました。
羽生王位が2手目△3四歩と、自分から作戦を決めたいという出だしから、横歩取りに。
縦歩取りをして、9筋の位を取り、さらに3筋で2度目の縦歩取りを決めました。
珍しい指し回しでしたが、△9五歩だけは微妙だったようです。
と、いうのも、この後、先手から逆襲されてしまうのです。
先手の広瀬八段は中央に駒を集めて、厚みを築きます。
今、5七の角を▲6六角とあがったところ。
ここで△3四飛なら「対局中は千日手のつもり」と、広瀬八段。
素人目にも、後手の陣形が低く、位があまり活きていない印象があり、千日手が視野に入るのも自然に見えます。
上図の局面で羽生王位の見解は「千日手が最善」。
ここから、9筋を逆襲されて、広瀬八段がペースを握ったからです。
こうなると、手をこまねいているわけにはいかない羽生王位は、△8六角~△6四歩と、自ら角の退路を断ちました。
しばらくこの局面で考えてみましたが、他の手では先手が良くなりそうで、後手としては仕方ない手順のようです。
先手の飛車は縦にも横にも働いている好位置。
ゆえに位置をずらしたいので、歩を使うのが手筋ですね。
手筋に見えた叩きの歩でしたが、羽生王位曰く、「筋が悪かった」。
△9六歩と垂れ歩の手筋を使うほうが良かったそうです。
その瞬間が緩く見えるだけに、叩きたくなる気持ちもわかります。
対局終了直後の大盤解説会で、広瀬八段が真っ先に挙げた局面がこちら。
角打ちの前に▲8五歩を入れるべきか迷ったそうです。
ソフトもこの形勢の揺れは検知できたようで、2~300点台が5~600点台で後手良しと出ました。
ここから羽生王位は、△9四香~△9八歩成と9筋を奪還し、△5四香~△7二桂と1八に成り返った馬の利きを止め、盤石の態勢を築いてから、寄せ切りました。
2日制のタイトル戦で久しぶりの横歩取りでしたね。
先手がペースを握った局面もありましたが、終盤で逆転した羽生王位の力はさすがですね。
広瀬八段は、第2局について「踏みとどまれるか正念場」と、ご自身のFacebookで書かれています。
好局を期待しましょう!
第56期王位戦七番勝負第2局
羽生善治(はぶ・よしはる)王位 対 広瀬章人(ひろせ・あきひと)八段
2015年7月21・22日(火・水)
9:00~
<中の坊瑞苑>兵庫県神戸市北区有馬町808
立会:内藤國雄(ないとう・くにお)九段
副立会:酒井順吉(さかい・じゅんきち)七段
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