将棋日本シリーズ

JTプロ公式戦 一回戦第三局

7月11日(土)に石川県で行われた、JTプロ公式戦一回戦第二局。
123手で行方尚史八段の勝ちとなりました。

では、第二局を振り返りましょう。

2015JTプロ公式戦一回戦第二局-1

振り駒の結果、行方八段の先手番となりました。
両者居飛車党で、後手の木村八段が横歩取りに誘導しました。
▲5六飛と歩越しに回るのは、中原誠十六世名人が指されていた構想で、タイトル戦にも登場した指し方です。
ところが、この辺りで行方八段は誤算に気が付いたそうで、「禁断の▲8二角」を決行しました。

 

2015JTプロ公式戦一回戦第二局-2

禁断、とはいえ、▲8二角は駒得を目指す一手。
ゆっくりしていると好手になってしまうので、後手は動くことになります。
その方針通り、△2七角と打ち込んだ木村八段。
ここで行方八段の次の一手が鮮烈でした。
その手は▲2六飛!
なかなか思いつかない受けです。

 

2015JTプロ公式戦一回戦第二局-3

ハッとする受けでしたが、飛車と手番を渡しているので、これで先手良しというわけではありませんでした。
△2七歩が一歩千金のたたき。
行方八段は▲2一飛と攻防に利く飛車を打ち込みますが、一転△2二銀と、打った飛車を狙いに行くのが木村流の受けでした。
確かに、これで先手は困っています。

 

2015JTプロ公式戦一回戦第二局-4

2一の飛車が危なく、忙しい先手の行方八段。角打ちから▲6三角成と攻めました。
後手が取れば▲6一飛成ですね。
そこで木村八段は△3一金と飛車を取りに行きましたが、それを見捨てた▲2七馬が意表の好手。4九の飛車を取ってしまう狙いです。
戻って、▲6三角成を△同銀と取り▲6一飛成△5二銀のような指し方のほうが良かったそうです。

 

2015JTプロ公式戦一回戦第二局-5

先手優勢のまま突入した終盤戦。
歩頭に取れる銀が2枚並び、3一の龍や3四の銀が取られそうで、迷う局面です。
ここで取れる駒を取らずに▲4四馬としばったのが寄せの好手で、「ようやく勝ちになったと思った」と、行方八段。
質駒が多く、龍を取られても後手玉を寄せ切れるのですね。

勝った行方八段は、2回戦に広島市で渡辺明JT杯(棋王)と対局になります。

勝者コメントと棋譜はこちらから。
「一回戦第二局 北陸・信越大会」勝者・行方八段のコメントを掲載!

第三局は、佐藤康光九段と豊島七段の登場です。
両者居飛車党ですが、佐藤九段が序盤から工夫するのではないかと予想します。
序盤から注目ですね。

将棋日本シリーズ 福岡大会 JTプロ公式戦 一回戦第三局
佐藤康光(さとう・やすみつ)九段 対 豊島将之(とよしま・まさゆき)七段
2015年7月18日(土)
15:00 開演予定
<福岡国際センター>福岡県福岡市博多区築港本町2-2

解説:豊川孝弘(とよかわ・たかひろ)七段
聞き手:本田小百合(ほんだ・さゆり)女流三段
読み上げ:藤田綾(ふじた・あや)女流初段

棋譜中継はこちら
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