竜王戦

第29期竜王戦七番勝負第4局

渡辺明竜王に丸山忠久九段が挑戦している第29期竜王戦七番勝負。
第3局は147手で丸山九段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2勝1敗とし、一歩リードです。

では、第3局を振り返りましょう。

第29期竜王戦七番勝負第3局-1

第3局は丸山九段の先手番です。初手▲2六歩から居飛車宣言をしたのに対して、渡辺竜王の選択は四間飛車。それも穴熊でした。
非公式戦での採用はちらほらあるそうですが、公式戦、それもタイトル戦での採用は珍しく感じます。
図の△7四歩は「ひたすら千日手を狙う将棋です。(渡辺竜王)」で、攻撃的に指すなら△6四歩~△6二飛という指し方もあります。

 

第29期竜王戦七番勝負第3局-2

丸山九段も穴熊に囲い、相穴熊になりました。
この戦型は囲いがほぼ同じため、その他でのわずかな差がそのまま勝敗に直結することも珍しくありません。
そこでどうやって差をつけるかが考えどころですが、丸山九段は6八にいた飛車を▲6七飛と浮きました。控室の広瀬八段いわく「まったく見ない筋です」とおっしゃっています。実戦の進行を追うとその真意が分かり、▲6八角~▲6六銀~▲7七銀引と角の働きを良くしつつ、玉を固める構想でした。

 

第29期竜王戦七番勝負第3局-3

4枚穴熊を見せられてはじっとしているわけにいかないので、渡辺竜王は△2六角~△2五桂と右辺でポイントを挙げに行きます。
図は▲7七角に△同馬と取ったところ。取り返し方は4つあり、実戦は桂馬でした。
この後、この桂馬が5三まで跳ね出していくので良さそうに見えましたが、「やりすぎでしたかね」という丸山九段の感想が残っています。
感想戦では▲同金が検討され、後手としては自信がない展開のようです。

 

第29期竜王戦七番勝負第3局-4

穴熊を崩す時によく用いられるのが、と金攻めです。本譜も▲6四歩と突き捨て、▲6三歩の垂れ歩で攻めました。次に▲6二歩成となれば、先手成功です。後手が困ったようですが、図で△5二歩が受けの好手。▲5二同成桂なら△6三金と垂れ歩を払えますし、本譜の▲6二成桂なら△7三金とかわして先手の攻めが重くなります。見ごたえのある歩の手筋の応酬ですね。

 

第29期竜王戦七番勝負第3局-5

局面は先手が指しやすい終盤戦です。先手として気になるのは飛車が自陣にいること。これが敵陣に飛び込めればはっきり良くなります。ゆえに▲4九飛が好手段となります。飛車を成られてはつらいと見た後手は△4六歩と押さえました。ちなみにうちのソフトはここで△6八香成を指摘しており、先手の▲4一飛成は2手スキなので、詰めろを続けてどうか?という展開になります。ただ持ち時間が少ない状況では選びづらい展開ではありますね。

 
以下、成駒と攻防の角で攻め切った丸山九段の勝ちとなりました。

おそらく意表だったと思われる四間飛車穴熊にも勝ち切った丸山九段。連勝でもあり勢いに乗りたいところです。
番勝負は偶数局が大事とはよく言われており、渡辺竜王は次局先手番ですので、第4局は是が非でも勝ちたいところとなります。
丸山九段が後手番ですので、戦型は渡辺竜王が避けなければ1手損角換わりになりそうです。
 
 
第29期竜王戦七番勝負第4局
渡辺明(わたなべ・あきら)竜王 対 丸山忠久(まるやま・ただひさ)九段
2016年11月21・22日(月・火)
<指宿白水館>鹿児島県指宿市東方12126-12
立会:田中寅彦(たなか・とらひこ)九段
解説:飯塚祐紀(いいづか・ひろき)七段

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第29期竜王戦 七番勝負 第4局初日 渡辺明竜王 vs 丸山忠久九段
解説:所司和晴(しょし・かずはる)七段
聞き手:貞升南(さだます・みなみ)女流初段

第29期竜王戦 七番勝負 第4局2日目 渡辺明竜王 vs 丸山忠久九段
解説:田村康介(たむら・こうすけ)七段
聞き手:熊倉柴野(くまくら・しの)女流初段

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