里見香奈女流王位に岩根忍女流三段が挑戦している第27期女流王位戦五番勝負。
第2局は115手で里見女流王位の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2連勝とし、防衛に王手をかけました。
では、第2局を振り返りましょう。
岩根女流三段の中飛車に対して、里見女流王位は▲6六歩と角道を止めて持久戦を目指しました。
角道を止める中飛車はマイナビ女子オープン五番勝負で室谷女流二段が指していたのが記憶に新しいところです。その将棋は▲6六銀型だったので、これが里見女流王位の研究と思われます。
左美濃に対して岩根女流三段は5筋の歩を交換して攻めの銀を6四に置き、持久戦模様にしました。
図の△1二香は部分的には先手の角筋を避けてよく見られる指し方ですが、大局的に見て効果の薄い一手だったようです。
この後△1二香型がたたる変化が水面下で出てきます。
お互いに金銀4枚で玉を堅く囲いました。
しかし、組み上がってみると、先手の方が手厚く伸び伸びしています。ソフトの評価値も先手に振れています。
盤面の右半分でポイントを稼ぐべく△2五桂と桂馬のタダ捨てを放つ岩根女流三段でしたが、里見女流王位はそれを横目に▲7五歩から玉頭戦を挑みます。
里見女流王位の方針は盤面の左半分の優位を形勢に結びつけることでしょう。
その方針にしたがって▲6八飛と転回しました。
こういう展開になると△1二香が意味をなさず、さらに△2五桂も▲2六歩から取られてしまうリスクがあります。
後手の飛角が遊び気味なので、次の△2三飛は横利きを通して味の良い一手と言えます。
局面は先手が優勢の終盤戦です。
里見女流王位は何も利いてない7四のマス目に、▲7四銀と捨てて決めに行きました。
△同金なら▲8三銀や▲8三歩成があります。
本譜は△同銀でしたが、▲6四角から駒交換をして先手好調です。いずれの変化も玉頭戦の中で作った8四の拠点が活きています。
戻って、同じ捨てるなら▲7四歩でも良さそうですが、△8四銀と拠点を払われると少々ややこしいところがあります。▲7四銀なら8三のマス目にも利いているので分かりやすいですね。
連勝で防衛に王手をかけた里見女流王位。内容も素晴らしく、防衛に向けて視界良好です。
一方、カド番に追い込まれた岩根女流三段の巻き返しにも期待ですね。
戦型予想は対抗形でほぼ間違いないでしょう。
飛車の振る位置は、三間飛車と予想してみます。
第27期女流王位戦五番勝負第3局
里見香奈(さとみ・かな)女流王位 対 岩根忍(いわね・しのぶ)女流三段
2016年6月8日(水)
9:00~
<旧伊藤伝右衛門邸>福岡県飯塚市幸袋300番地
立会:森下卓(もりした・たく)九段
記録:塚田恵梨花(つかだ・えりか)女流2級
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