女流王位戦

里見香奈女流名人が女流王位を奪取!

甲斐智美女流王位に里見香奈女流名人が挑戦していた、第26期女流王位戦五番勝負。
第3局は126手で里見女流名人の勝ちとなりました。
シリーズ成績を3連勝とし、女流王位奪取を決めました。

では、第3局を振り返りましょう。

第26期女流王位戦五番勝負第3局-1

先手となったカド番の甲斐女流王位は、3手目▲2六歩と居飛車で戦うことを宣言しました。
対する、里見女流名人は△5四歩と、ゴキゲン中飛車の出だしに。
銀対抗形から急戦形に構えた甲斐女流王位、早くも▲2四歩と突き捨てました。
ここでは▲1六歩・▲2九飛と備えてから仕掛けるのが良く指されており、甲斐女流王位の研究がうかがえます。
この局面自体は前例がありませんが、類型が1局あるとのことです。

第26期女流王位戦五番勝負第3局-2

▲3五歩と3筋から攻めを開始した手に対して、銀桂交換から角をぶつけた里見女流名人。
棋譜コメントにも、非常手段気味、という表現が出ていました。
感想戦では▲6六銀が検討されたそうで、ソフトもその手で先手良し、との評価。
実戦は▲3三角成と先手から換えていきました。

第26期女流王位戦五番勝負第3局-3

本譜の攻めもとても評判がよくて、と、畠山鎮七段。
飛金交換の駒損ながら、後手の銀が2九に遊んでいるので、難しい局面です。
この▲5四桂に代えて▲4三馬もあったそうです。
その変化でも後に▲5四桂とは打ちますが、本譜のように馬を引きつけられる展開にならないので、先手としても選ぶ価値があったかもしれません。

第26期女流王位戦五番勝負第3局-4

 
飛車を下した甲斐女流王位。
一見利いている一段目ではなく、歩で遮られている二段目に打ちました。
これは△4九銀不成~△2四桂を気にした打ち場所で、▲5四馬と逃げた手が飛車にひもをつけているので大丈夫、という意味です。

 

第26期女流王位戦五番勝負第3局-5

先手優勢で進んできた終盤戦に飛び出した△5八銀成。里見女流名人、渾身の一手です。
驚くことに、ソフトはこれで後手が良くなったと判断しています。
確かに、この後ほぼ必然の順で詰めろ龍取りがかかっているのでその判断にもうなづけます。
その前の▲5五銀では▲7七銀も検討され、その変化でも△5八銀不成という手が出てきます。
結論として、▲5五銀では▲6一銀としておけば先手に分がある形勢だったようです。

1月に休場から復帰後、12連勝で女流王位に返り咲いた里見女流名人。
結果だけ見ると、とても素晴らしい数字です。
また奨励会には復帰しておらず、体調面では不安を抱えているように見えます。
いい方向に進んでくれれば良いと願っています。

里見女流名人、女流王位奪取おめでとうございます!

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