甲斐智美女流王位に里見香奈女流名人が挑戦している第26期女流王位戦五番勝負。
第1局は138手で里見女流名人の勝ちとなりました。
では、第1局を振り返りましょう。
振り駒の結果、先手は甲斐女流王位になりました。
3手目▲2六歩と居飛車を明示すると、後手の里見女流名人は△9四歩と態度を保留。
序盤から細かい駆け引きがあり、落ち着いたところは、角交換四間飛車でした。
通常の形に比べ、後手は端の位を取れており、ここで戦いになればそれが生きてくることでしょう。
仕掛けの前に△1四歩と一手待ったのも細かいところです。
一手前の▲7七角に対して「これでどう受けられるか分からなくて……」と、甲斐女流王位の感想があります。
里見女流名人の答えは交換した歩を打つ△2三歩。
何をやっているか分からないようですが、先手が持ち駒の角を手放したので、打っても良いとの判断でしょう。
棋譜を並べていて驚いたのがこの△5五歩。
Twitter解説の星野良生四段も「△5五歩は気づきませんでした」と、コメントしています。
▲4三歩成には△5四銀を用意しています。
それならば、「敵の打ちたいところへ打て」の格言に則って▲5四銀ですと、△5三銀がピッタリと両者の感想が残っています。
金取りに飛車を打ち込んで後手が好調のようですが、その前に△6九銀成を入れておいた方が良かったとのこと。
確かに先手にとって4八の金は負担になっている駒で、それが手順に持ち駒になるのですから、ありがたいと思えるわけですね。
ただし、ここでは▲5七銀も有力とのことです。
先手優勢で突入した終盤戦。
「端玉には端歩」の格言通りの▲9六歩でしたが、これが事実上の敗着となってしまいました。
と、いうのも、ここで△6三金と銀を外され、寄せが難しくなってしまったからです。
感想戦では▲6二銀不成が良いとされ、難解ながら先手勝勢の終盤戦だったそうです。
飛車の横利きを止めて、▲8二銀を狙うのがポイントのようです。
苦しい将棋をしのいだ里見女流名人が幸先の良いスタートを切りました。
序盤から少しでも得をしようとした動きが印象的な一局でした。
甲斐女流王位としても、勝勢の手順があっただけに、悔やまれる一局。
内容は拮抗しているので、次局以降も楽しみなシリーズになりそうです。
第26期女流王位戦五番勝負第2局
甲斐智美(かいともみ)女流王位 対 里見香奈(さとみかな)女流名人
2015年5月13日(水)
9:00~
<扇松園>北海道旭川市高砂台3-8-3
立会:中座真(ちゅうざ・まこと)七段
記録:高浜愛子(たかはま・あいこ)女流3級
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