名人戦

第73期名人戦七番勝負第3局

羽生善治名人に行方尚史八段が挑戦している第73期名人戦七番勝負。
第2局は94手で行方八段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を1勝1敗とし、スコアをタイに戻しました。

では、第2局を振り返りましょう。

第73期名人戦七番勝負第2局-1

 
第2局は、羽生名人の先手番。
初手▲2六歩から相掛かりになりました。
近年、後手が飛車先交換を保留するようになりましたが、本局は先手も保留する指し方です。
タイトル戦では1996年の第46期王将戦七番勝負第1局で指されており、アイディアとしては昔からあったようです。

第73期名人戦七番勝負第2局-2

 
構想の難しい将棋となり、近年まれにみるスローペースの進行となりました。
ここで羽生名人が封じ手をし、1日目が終了。
端歩を入れて先後を逆にすると、よくある将棋になります。

第73期名人戦七番勝負第2局-3

封じ手は▲3六飛。
それに対して、3四の歩を守るべく△3三金とした行方八段。
この辺りは、いろいろあるところで、▲7七銀~▲7六銀では、▲7七桂からひねり飛車にする構想もあったところです。
また、行方八段の△2三金もなかなか見ない形で、矢倉戦であれば悪形と切り捨てる構想でしょう。

第73期名人戦七番勝負第2局-4

中盤の折衝の中で、結果的に7六へ回ってきた先手の飛車。
こうなると、玉が5八にいるのが気になってきます。
そこで、じっと△6三歩。
銀が逃げれば楽になりますし、本譜のように決戦になれば玉形の差が生きる展開となります。

第73期名人戦七番勝負第2局-5

 
後手優勢の終盤戦。
そこで見せた、羽生名人の▲8九金。
根性の一手、と、形容したくなるような受けの一手です。
通常、こういったところに金を手放すのは悪いとしたものですが、角が入ると後手玉も怪しくなるので、頑張りがいがあるということでしょう。
この後、行方八段が角を渡さずに寄せ切り、1勝を返しました。

序盤から定跡形を外れた力戦形を制したのは、行方八段でした。
スローペースで見ている方は疲れましたが、内容は濃密な1局。
並べてみると、一手一手の難しさが伝わってきます。
次局は行方八段の先手。
調子よく連勝と行きたいところですが、羽生名人がそれを許すかどうか、注目です。

第73期名人戦七番勝負第3局
羽生善治(はぶ・よしはる)名人 対 行方尚史(なめかたひさし)八段
2015年5月7・8日(木・金)
9:00~
<松江歴史館>島根県松江市殿町279番地
立会:井上慶太(いのうえ・けいた)九段
毎日副立会:豊島将之(とよしま・まさゆき)七段
朝日副立会:久保利明(くぼ・としあき)九段

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第73期名人戦七番勝負 第3局 初日 羽生善治名人 vs 行方尚史八段
解説:真田圭一(さなだ・けいいち)七段
聞き手:安食総子(あじき・ふさこ)女流初段

第73期名人戦七番勝負 第3局 2日目 羽生善治名人 vs 行方尚史八段
解説:中村太地(なかむら・たいち)六段
聞き手:井道千尋(いどう・ちひろ)女流初段

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