棋聖戦

第86期棋聖戦五番勝負第4局

羽生善治棋聖に豊島将之七段が挑戦している第86期棋聖戦五番勝負。
第3局は108手で羽生棋聖の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2勝1敗とし、防衛まであと1勝としました。

では、第3局を振り返りましょう。

第86期棋聖戦五番勝負第3局-1

第3局は豊島七段の先手です。
羽生棋聖の2手目△8四歩に、今シリーズ3回目の矢倉となりました。
序盤は早囲いで一手得したにもかかわらず、それが生きない脇システムの定跡形になりました。
ここまでの棋譜を見ると、羽生棋聖は早囲いに囲われても大丈夫と踏んでいるような印象を受けます。

第86期棋聖戦五番勝負第3局-2

 
脇システムの先後同型から、新構想を打ち出したのは後手の羽生棋聖。
通常であれば、香車を上がってからその後ろに飛車を持っていく雀刺しが一般的です。
端が破れれば、飛車を前にしているほうが、早く成ることができるということでしょうか。

 

第86期棋聖戦五番勝負第3局-3

 
その新構想に対する豊島七段の答えは、▲5七角。
これを見た羽生棋聖は、「△9二飛をとがめられました」と、感想戦でおっしゃっています。
作戦失敗と感じていたそうです。
しかし、もう行くしかないので、ここから羽生棋聖の攻めが始まります。

 

第86期棋聖戦五番勝負第3局-4

駒損の端攻めを敢行した、羽生棋聖。
細い攻めをどうつなぐか、悩ましいところです。
図は△7四歩と打ち、角筋を通したところで、羽生棋聖の組み立てが印象的でした。
△6五桂と捨て、△8六歩と飛車の横利きを通して、銀当たり。
アマチュアですと△9七角成と突っ込みたくなるところですが、駒損が大きすぎてダメですね。

 

第86期棋聖戦五番勝負第3局-5

細い攻めをつなぐ後手。
切らしたい先手。
△7五歩のたたきに、▲6六金と逃げましたが、次の△6四香で「攻めが切れる心配がなくなった感じがした」と、羽生棋聖。
どうやら、この手に対する応手が分岐点だったようです。
▲6六金に代えて、▲8五金なら先手有望だったと感想戦では結論付けられました。

 
今シリーズは、これで後手番が3連勝。
それも、すべて矢倉でした。
そうなると、次局は豊島七段が、となりますが、どうなることでしょう。
羽生棋聖が決めるのか?豊島七段がカド番をしのぐのか?
大一番をお見逃しなく!

第86期棋聖戦五番勝負第4局
羽生善治(はぶ・よしはる)棋聖 対 豊島将之(とよしま・まさゆき)七段
2015年7月15日(水)
9:00~
<高島屋>新潟県新潟市岩室温泉
立会:田中寅彦(たなか・とらひこ)九段
副立会:飯塚祐紀(いいづか・ひろき)七段

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第86期棋聖戦 五番勝負第4局 羽生善治棋聖 vs 豊島将之七段
解説:鈴木大介(すずき・だいすけ)八段
聞き手:長沢千和子(ながさわ・ちかこ)女流四段

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