加藤桃子女王に上田初美女流三段が挑戦する第8期マイナビ女子オープン五番勝負。
第2局は128手で加藤女王が勝ちました。
シリーズ成績を2連勝とし、早くも防衛に王手をかけました。
では、第2局を振り返りましょう。
第2局は上田女流三段の先手番です。
予定の先手中飛車の出だしから、積極的に角交換に出ました。
この指し方は前田流と呼ばれ、角の動きでは▲7七角~▲2二角成と手損をしますが、5筋の歩が交換できる点を重視するものです。
第1局と同じように手持ちの角を手放し、歩得を目指した上田女流三段。
「この角が意外に働くんです」と、控室の声があるように、歩得して角が遊ばなければ、悪い理屈はありません。
対する、加藤女王も「この形は指したことがあった」と、いう感想を残されています。
後手の加藤女王が銀を繰り出したものの、上田女流三段の巧みな対応になかなか明快な戦果を挙げられません。
やや悲観気味の加藤女王が、「欲張った」と、指した△8五飛があまり良くなったそうです。
次の▲7五歩が好手で、以下先手陣の左側にある駒がさばけてきます。
▲7二角と両取りをかけた上田女流三段。
技が決まったかに見えましたが、冷静に見ると、現状は後手の桂香得。
加藤女王は△5五銀と取られそうな銀を使い、守備銀をずらしてから飛車を逃げました。
後に△3五桂が残り、玉頭のたたきが生きてきます。
難解な終盤戦でしたが、加藤女王が押し切りました。
図は投了図で、ここから即詰みなのですが、守りに打った△5三香、遊んでいた△7五銀と△8五桂が詰みに働いているのです。
その前にも、7一にいた飛車が△3一飛~△3五同飛車と使えており、まさに「勝ち将棋鬼の如し」という言葉がピッタリですね。
連勝で防衛まであと一勝とした加藤女王。
インタビューでは「メンタル面が……」とおっしゃっていますが、結果を残すあたりはさすがですね。
上田女流三段はあとが無くなりましたが、五番勝負では2連敗3連勝は珍しくないので、これからの巻き返しに期待したいですね。
次局は上田女流三段が後手番になります。
そうすると、戦型はそろそろ四間飛車穴熊の登場かなと予想します。
第2局の勝利者インタビュー
第8期マイナビ女子オープン五番勝負第3局
加藤桃子(かとうももこ)女王 対 上田初美(うえだはつみ)女流三段
2015年5月7日(木)
10:00~
<将棋会館>東京都渋谷区千駄ヶ谷2-39-9
立会:深浦康市(ふかうら・こういち)九段
記録:高浜愛子(たかはま・あいこ)女流3級
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