森内俊之竜王に糸谷哲郎七段が挑戦していた第27期竜王戦七番勝負。
第5局は161手で糸谷七段が勝ちました。
シリーズ成績を4勝1敗とし、竜王を奪取しました。
では、第4局を振り返りましょう。
第5局は糸谷七段の先手でした。
3手目▲7八金と、矢倉と角換わりの可能性を残した手に対して、森内竜王は△3二金と作戦を相手に委ねました。
糸谷七段の選択は、角換わり。
手順は違いますが、第1局の将棋と合流しました。
第1局と違うのは、先手の飛車と右香の位置で、それで穴熊に組んだら?という将棋。
その問いかけに、後手の森内竜王は△7三桂~△6五歩と足早な仕掛けを見せました。
通常であれば、▲2五桂に対して△2四銀と逃げるところですが、逃げずに△6五桂と後手が攻め続ける展開へと進みます。
受けに回る糸谷七段。
4枚で固めてチャンスをうかがう▲5六角に、ところに、馬切りの強手!
駒損になりますが、森内竜王はこれで攻めがつながると読んでいます。
後手玉も歩を取り込まれてピンチのようですが、まだまだ余裕があります。
ここで森内竜王が△7五歩と打ち、その後に△9五香と走りました。
自然な攻めに見えましたが、これが手順前後と言います。
将棋の難しさが表れたところですね。
ただ、形勢自体は後手良しです。
後手勝勢で迎えたこの局面。
決め手がありました。
単に△6九竜で、後手勝ち。
本譜は△9八桂成を入れてしまったために、優位が一気に吹き飛んでしまったとのこと。
ここでも手順前後が登場していますが、今回のは罪が重かったようです。
逆転勝ちで4勝目を挙げた糸谷七段。
竜王を奪取するとともに、それに伴い八段の昇段も決めています。
初挑戦でビッグタイトルを取った糸谷新竜王。
この1年、将棋界の顔となり、将棋以外の仕事も増えることと思います。
糸谷新竜王、おめでとうございます!