電王戦

第1期電王戦二番勝負第1局振り返り

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コメントにてリクエストをいただきましたので、第1期電王戦二番勝負第1局を振り返ります。
今年から電王戦は、叡王戦の優勝者と、電王トーナメントで優勝した将棋ソフトが対局することとなりました。
第1期の出場者は、山崎隆之叡王(八段)とPonanzaです。

それでは、振り返っていきます。

第1期電王戦二番勝負第1局-1

振り駒の結果、Ponanzaの先手となりました。
横歩取り模様の出だしから、Ponanzaは横歩を取らずに▲5八玉と立ちました。前例は64局(対局時)あるそうで、ニコニコ生放送で解説の阿久津八段は、「お互いに自由度が高い」と、おっしゃっています。
電王戦PVで紹介されているように、自由な将棋を志向する両対局者の持ち味が存分に出る形と言えそうです。

 

第1期電王戦二番勝負第1局-2

数手進み、Ponanzaは角交換から▲6六角と両取りをかけました。
△8九飛成があるので大胆に見えますが、その順は▲5八玉型が活きて先手が良くなります。具体的には△8九飛成▲2二角成△同金▲同飛成が詰めろ。そこでよくある切り返しは△7九龍▲同金△7七角で王手龍取りですが、5八玉型のため、△7九龍が王手になりません。

 

第1期電王戦二番勝負第1局-3

ソフトらしい緻密な組み立てはまだまだ表れます。
飛車を押さえた8三歩を▲8二歩成と成り捨て、飛車の横利きにピョンと▲6五桂が驚きの組み立て。タダのところに跳ね出しています。
これを△同飛とすると▲2二歩で桂馬を取り返すことができ、駒の損得では互角ながら、と金が残ることと△2九飛成を消したことが先手の得として残ります。
仕方のない△3一角の受けに、続く▲5四銀が後手玉の上部を押さえる重厚な手で、ソフトらしく流れや先入観のない組み立てです。

 

第1期電王戦二番勝負第1局-4

図の▲3八銀は3九から上がったものです。
それを怠ると△2八龍の両王手があり、後手が相当盛り返します。
その受け方が絶妙で、人間なら角道の方を止めたくなるのですが、飛車の方を止めて大丈夫と見るのは相当な見通しがないと指しづらい手です。
あるイベントで斎藤慎太郎六段がこの▲3八銀が印象に残っているとおっしゃっており、プロの目から見ても感じるものがあるようです。

 

第1期電王戦二番勝負第1局-5

ソフトの終盤戦は信頼性が高く、タイトル戦でプロ棋士が指さなかった手を指摘し、それで寄せ切れていた、というケースが少なからずあります。
この局面では、4一の飛車で、6一の金か2一の桂が取れます。駒の損得だけで考えると、金を取る方が価値が高いですが、Ponanzaの選択は桂でした。
△3六角の王手に▲4七桂と合駒をした手が3五のマス目を押さえており、後手の上部脱出阻止に一役買っています。
もちろん、プロ棋士による検討でも桂馬を取る手が最有力とされており、両者が一致するということは、局面がはっきりしているということになります。
最後は詰めろ角取りと攻防ともに隙が無く、鮮やかな収束でした。

 
1局を並べての感想としては、ソフトの手を見た瞬間は「んっ?」と思うけれど、読み進めてみると実に理に適っており、こんな得まであるのか!?と思うほど最上級のものばかりでした。
正しい評価関数と膨大な検索数に支えられているので、それもその通りですよね。
対局相手にはしたくないですが、研究パートナーとしては実に頼もしいと言えそうです。

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