加藤桃子女王に上田初美女流三段が挑戦していた第8期マイナビ女子オープン五番勝負。
第4局は106手で加藤女王が勝ちました。
シリーズ成績を3勝1敗とし、女王を防衛しました。
では、第4局を振り返りましょう。
第4局は先手の上田女流三段が向かい飛車を選択しました。
▲5七銀は6六から引いてきたもので、その局面は盤面左側がほぼ同型。玉側も銀冠と先後同じようになり、違いが難しいところです。
感想戦によると、駒組みは後手ペースとのことでした。
ただし、図の△1二玉は△3三桂のほうが良かったそうです。
確かに、この後△3三桂という符号が棋譜コメントに散見されるので、ここでやっておけば効率が良さそうです。
中央から飛車をさばいた上田女流三段。
それに対する加藤女王の△4二桂が堅い受けでした。
場合によっては▲3四飛と飛車から3四のマス目を攻める手があります。
この局面を見ると、△1二玉より△3三桂のほうがさらに良かったことが分かります。
△4二桂に、飛車を縦に引くと勝負どころがないと見た上田女流三段は、△6四金で飛車が取られることは承知の上で、敢えて狭い7四へ。
ここで▲8四角から馬を作り、後手ペースだったところから追い上げました。
代案として、△4六馬から△6四馬と、手持ちの金と交換ではなく、6八にいる遊び気味の馬と交換してしまうほうが良かったという感想がありました。
▲6三馬と飛車取りに当てた手を放置して、「終盤は駒の損得より速度」を地で行った△1四銀。
控室でも歓声があがったそうですが、局後の感想では急ぎ過ぎだったとのこと。
この後、▲1八歩と受けられて意外に手がなかったことが女王の誤算だったようです。
後手玉には必至がかかり、先手玉が詰むかどうかの終盤戦。
結論から言うと、先手玉には詰みがあります。
実戦は21手詰め。合駒を金に代えると、29手詰めになります。
局後のインタビューでは、詰みが読み切れてなかった旨のコメントをされていた加藤女王。
それでも短い時間の中、詰まし上げたのはさすがタイトルホルダーでしたね。
3勝1敗で女王を防衛となった加藤女流二冠。
ご本人のツイッターでは、タイトル保持者枠で女流王将戦にも出場できることがつぶやかれています。
奨励会でもそうですが、女流棋界での活躍も楽しみですね。
加藤桃子女流二冠、女王防衛おめでとうございます!
第4局の勝利者インタビュー