羽生善治棋聖に森内俊之竜王が挑戦していた、第85期棋聖戦五番勝負。
第3局も羽生棋聖が勝ち、3連勝で棋聖位を防衛しました。
では、第3局を振り返りましょう。
44手目の△6四歩までは前例があり、第25期竜王戦ランキング1組決勝▲屋敷△羽生戦。
屋敷九段はここで▲3六歩でしたが、森内竜王は壁銀を直す▲7七銀でした。
△5四角からの攻めが見えているだけに、大胆な一着。
後手の羽生棋聖も、熟慮の上、△5四角から攻めに出ました。
感想戦のコメントを読むと、どうも先手の作戦がうまくいかなかった、と、読み取れました。
相手の攻めを消すためとはいえ、▲7九歩はなかなか打てない歩です。
形勢はともかく、受けの強い森内竜王らしい手ですね。
後手が優勢のまま突入した終盤戦。
ここで、△8八歩成~△6七角成とすれば、明快な寄りだったそうです。
しかし、少し前に、△6七角成は▲6三歩とたたかれて難しいので△8七歩とたたいた、という経緯があります。
その流れの中で、この決め手を見つけるのは容易なことではないでしょう。
実戦は△5七香不成~△2二銀と竜を取りに行きました。
寄せを考える局面で、自陣に手を入れる。
このギアチェンジは、羽生棋聖らしい柔軟さですね。
以下、森内竜王が猛烈な追い込みを見せ、アマチュア的には「あわや!」という局面もありましたが、プロ的には逆転には至ってなかったそうです。
羽生名人は、これで棋聖位を7連覇。
大山十五世名人の記録に並び、1位タイです。
タイトルホルダーの入れ替わりが激しい棋聖位を、これだけ連覇するのは、実に偉大なことですね。
棋聖獲得は通算13期、タイトル獲得数を88期に伸ばしました。
羽生名人は、すぐに王位戦の防衛戦が始まります。
またタイトル獲得数を伸ばすのか、注目ですね。