羽生善治王位に広瀬章人八段が挑戦している第56期王位戦七番勝負。
第4局は83手で羽生王位の勝ちとなりました。
シリーズ成績を3勝1敗とし、防衛に王手をかけました。
では、第4局を振り返りましょう。
羽生王位が先手番の第4局。
ついに、広瀬八段の四間飛車穴熊が登場しました。
将棋世界で、穴熊は…という旨のことをおっしゃっていたそうですが、ファンの期待に応えていただいたのかなぁ、と勝手に推察します。
ここまでで微妙な定跡の進化があり、△9二香と上がる前に△5四銀と出るのが、他ならぬ広瀬八段の研究手です。
△5四銀の応手によって、後手は美濃囲いで戦う含みも残したほうがよいといいます。
羽生王位も穴熊を指向し、相穴熊へ。
早めに金をくっつけて▲5五歩と後手の銀に働きかけていきました。
ここで広瀬八段は△6五銀と出られると思っていたそうですが、激しく戦ってみると金の離れ駒が気になり、自重したそうです。
羽生王位の▲5八金右~▲6八金寄を急いだ工夫が生きた格好です。
▲5五歩△4三銀と手得をした羽生王位でしたが、争点が難しく、この辺りはどう打開するかを考えられていたそうです。
構想としては、▲6八角・▲3七桂・▲2八飛でどうか。
それを知ってか知らずか、広瀬八段は△3五歩と開戦してきました。
玉周辺では先手の方が堅いので、飛車周辺で積極的にポイントを取ろうとしたものと思われます。
相穴熊は豪快に見えて、実はとても繊細な戦型です。この局面は駒の働きに差がついており、先手が指せます。
さらに先手の一歩得、金がくっついている分だけ先手玉が堅く、先手良しの材料が揃っています。
ここで△6一金寄とするほうがまだしもだったそうですが、玉がさらに薄くなるので相当指しにくい手ですね。
先手優勢の終盤戦。
ここから羽生王位が見せた鮮やかなお手並みは、▲3七桂。
攻めは飛角銀桂と言いますが、その4枚すべてで働きの差をつけてしまえば、自然に良くなる理屈です。この桂馬が後に▲4五桂と守りの金を攻めながら、飛車を押えこむ要の駒となり、羽生王位の快勝となりました。
防衛まであと1勝とした、羽生王位。
前局は逆転負けだっただけに、ホッと一息つけたのではないでしょうか。
対する広瀬八段はカド番に追い込まれましたが、次局は先手番です。
主導権に握りやすい相居飛車でカド番を凌ぎにかかるのかなと予想します。
第56期王位戦七番勝負第5局
羽生善治(はぶ・よしはる)王位 対 広瀬章人(ひろせ・あきひと)八段
2015年8月26・27日(水・木)
9:00~
<渭水苑>徳島県徳島市沖浜東1-54
立会:桐山清澄(きりやまきよずみ)九段
副立会:武市三郎(たけいち・さぶろう)七段
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