加藤桃子女流王座に伊藤沙恵女流二段が挑戦する、第5期女流王座戦五番勝負。
第5局は104手で伊藤女流二段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を2勝2敗1持将棋とし、決着は最終局に持ち越されました。
では、第5局を振り返りましょう。
第5局は改めて振り駒が行われ、加藤女流王座の先手番となりました。
手順は多少違いますが、図までは第4局と同一局面です。
第4局ではここで14分考えて△5一角と引きましたが、本局は6分考えて△8四歩でした。
前局が飛車を横に使ったので、本局は縦に使おうという構想なのかなと感じました。
5筋の突き捨てから角を活用したり、△3四銀と守り駒で攻めを見せたりと、力戦調が得意な伊藤女流二段らしい指し回しが続きます。
ここで5筋の位を▲5四歩と突き捨てて攻めに出たのが「自分らしい手」と、加藤女流王座。
元気よく攻めていきましたが、▲6九玉と△3一玉の差に一抹の不安を覚えます。
▲2四歩と突き捨て▲5一角は矢倉崩しの本に出てきそうな攻め。
ところが、△6四角の返し技がありました。
▲7三角成を消されたので▲2四角成と行きたくなりますが、△6六銀が飛車取りに当たってきます。
それはまずいので、先手は根元の角に働きかけることになりますが、桂馬の利きに▲6五銀と打つくらいしかなく、これでは先手がさえません。
桂馬を取り返しながら▲6五同歩と角取りにして狙い通り進んでいるようでしたが、△5二飛が「あまり読めていなかった」と、加藤女流王座は言います。
伊藤女流二段はこの辺り、「自信がなかった」そうです。
本譜は一直線に角を取り合い、先手はと金を作り、後手は△6六歩と拠点を作りました。
6六の拠点を生かして、△6七銀や△5六角と足して攻める伊藤女流二段。
対して数を足して受けた▲5九桂が自然な受けに見えて、これがあまり良くなかったようです。
というのも、▲3四桂という攻め筋をなくし、△5八歩と目標になってしまったためです。
この△5八歩に▲同玉は、△7八角成ではなくじっと△5四飛と先手の飛車のさばきを抑えつつ自分の飛車を抑えられないようにするのが好手。うちのソフトにはこの好手の意味が分からないようで、△7八角成で後手良しと言っています。
本譜は図から▲同飛と取り、△6七金から伊藤女流二段が寄せ切りました。
五番勝負で第6局があるという珍しい展開になりました。
泣いても笑っても次局で決まります。
戦型はここまできたら矢倉しかないでしょう。
どんな結末になるのか、注目の一局です。
第5期女流王座戦五番勝負第6局
加藤桃子(かとう・ももこ)女流王座 対 伊藤沙恵(いとう・さえ)女流二段
2016年1月6日(水)
10:00~
<東京将棋会館>東京都渋谷区千駄ヶ谷2-39-9
立会:田村康介(たむら・こうすけ)七段
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