棋王戦

第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第2局

佐藤康光九段と佐藤天彦八段が争う、第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負。
第1局は179手で佐藤天彦八段の勝ちとなりました。
敗者組の天彦八段が勝ったことにより、挑戦者の行方は第2局に持ち越されました。

では、第1局を振り返りましょう。

第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第1局-1

振り駒の結果、先手は天彦八段となりました。
2手目△8四歩に、角換わりを目指した天彦八段。
対する康光九段は、角道を止めて力戦調の将棋にしました。
図は4一の金を△3二金と上がったところで、この手を康光九段は「ひどい手だった。敗着級です」と、バッサリ。
この図だけ見ると、後手は矢倉に囲うことができません。
駆け引きの末にこうなったわけですが、プロの序盤はいきなり敗着級ということがあるので恐ろしいですね。

 

第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第1局-2

凝り形の玉形をほぐそうと、△4二銀と引いた康光九段。
ここで薄くなった2筋に目をつけるのですが、次の3手はなかなか予想しにくい手でした。
それは、▲2四歩△同歩▲7八金。
飛車先を交換するのかと思いきや、天彦八段は△2四同歩の形にして駒組みを続けました。
△3三角が入ってから突き捨てても△同角の変化が生じるので、歩で取らせる形にするのは確かにこのタイミングしかありません。

 

第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第1局-3

先手の囲いは「銀矢倉」といい、最近のプロ棋戦では珍しいです。よくあるのは、6七に金がいる「金矢倉」で、一般的には矢倉といえばこちらを指します。
囲いに銀を使ったので、攻めは金になります。
この局面ははっきり先手の駒組み勝ち。
駒の働きと玉の堅さに差がついているので、有効な手を続けることができれば、まず先手が優勢になるでしょう。
ちなみにうちのソフトに聞いてみたら、この局面を400点台で先手良しと評価しました。

 

第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第1局-4

▲3四歩や▲2三歩と拠点の歩が入り、かつ8五の桂が取れそうな局面。
そういった場合は駒交換をせずに桂取りを間に合わせるのがセオリーで、本譜も▲5七銀と引き、続く△4五歩にも▲4七金と引きました。
ところが、この場合は駒を下がりすぎになったと天彦八段の感想が残っています。
変えて、図では▲5五銀とぶつけていく方が良かったそうです。

 

第41期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第1局-5

前図で駒を引きすぎてしまったため、混戦模様になった終盤戦。
攻め合いは難しいと入玉模様に指し、一時は康光九段のほうが良い局面もありました。
しかし▲2七銀と打たれてみると意外と後手玉の逃げ道がなく、康光九段も感想戦では「意外なほど簡単に寄ってしまうのが誤算でした。」と、おっしゃっています。
この手は、▲1六金△同歩▲1五金と詰将棋ばりの捨て駒をする詰めろになっており、以下天彦八段が寄せ切りました。

 
本局を見ると、次局の戦型予想は難解を極めそうです。
天彦八段の居飛車に、康光九段がどんな戦法をぶつけるかという構図とだけ予想します。

第41期棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局
佐藤康光(さとう・やすみつ)九段 対 佐藤天彦(さとう・あまひこ)八段
2015年12月28日(月)
10:00~
<東京将棋会館>東京都渋谷区千駄ヶ谷2-39-9

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