女流王位戦

第27期女流王位戦五番勝負第2局

里見香奈女流王位に岩根忍女流三段が挑戦している第27期女流王位戦五番勝負。
第1局は96手で里見女流王位の勝ちとなりました。

では、第1局を振り返りましょう。

第27期女流王位戦五番勝負第1局-1

振り駒の結果、先手番は岩根女流三段となりました。3手目▲7五歩と石田流を指向します。
対して里見女流王位は△8八角成~△5四歩という指し方を選びました。一般的に三間飛車は角の打ち込みに弱いとされていますので、早めの角交換は手損ながら一理ある指し方ですね。
岩根女流三段の飛車は▲6八飛~▲7八飛と回ったもので、角の打ち込みを警戒した動きです。
▲6五歩から小競り合いが始まります。

 

第27期女流王位戦五番勝負第1局-2

前図から△5五銀と中央に進出させた里見女流王位。
岩根女流三段は感想戦でこの手に対して「△5五銀ならなんとかなると思いましたが、意外と手になりませんでした」とコメントされています。少々誤算があったようです。
先手の飛車をけん制した△3四角に、「角には角」と▲8九角で応戦します。△3四角は振り飛車に対する右四間飛車の定跡で出てくる符号ですが、▲8九角は珍しい印象があります。

 

第27期女流王位戦五番勝負第1局-3

お互いに角を打ち合って、局面は落ち着きました。
里見女流王位はじっと△1四歩と端の位を保ち、先手に手を渡します。含みとしては、△3四角の利きを活かして端攻めをする筋があります。
岩根女流三段は先手番ということも多少あると思われますが、▲8五角と動いていきました。
▲9六歩も考えていたそうですが、感想戦では後手が指しやすいとの結論になったそうです。

 

第27期女流王位戦五番勝負第1局-4

飛車先を逆襲すべく、▲8六歩と突いていった岩根女流三段。
この手にはひと目△8七歩が手筋で、▲同飛は△7八角成、▲同角は△8六飛があります。
里見女流王位もノータイムで△8七歩とたたきました。
うちのソフトはここで大きく後手良しとの評価値がでています。

 

第27期女流王位戦五番勝負第1局-5

局面は後手が優勢の終盤戦です。
△8七歩のたたきに▲6八飛と逃げ、6筋からさばこうとした先手ですが、後手の8筋攻めのほうが速いです。
△8七とは8八から引いたもので、よくあるのは△7八とと捨てて飛車を成る手。しかし、これは「やりづらかった」と里見女流王位の感想が残っており、盤面全体を考えて指し手を選ぶことの重要性を感じます。
他には△8七とに代えて△7六歩という手があり、これはうちのソフト指摘の手。5四の角の利きを止めつつ、駒損を取り返しながらと金をつくる狙いで、これが間に合うと読めればこの手も良さそうですね。

 
優勢になってから危なげなく勝ちに持っていった終盤戦という印象があり、さすがは里見女流王位といったところ。
岩根女流三段の巻き返しにも注目ですね。
戦型予想は対抗形で、飛車の振る位置は三間飛車と予想してみます。
 
 
第27期女流王位戦五番勝負第2局
里見香奈(さとみ・かな)女流王位 対 岩根忍(いわね・しのぶ)女流三段
2016年5月26日(木)
9:00~
<京王プラザホテル札幌>北海道中央区北5条西7丁目2番地1
立会:野月浩貴(のづき・ひろたか)七段
記録:高浜愛子(たかはま・あいこ)女流2級

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