郷田真隆九段(王将)と山崎隆之八段が争う第1期叡王戦決勝三番勝負。
第1局は139手で山崎八段の勝ちとなりました。
では、第1局を振り返りましょう。
振り駒の結果、先手は山崎八段となりました。
初手は大方の予想通り、▲2六歩。
郷田九段も△8四歩と受けて立ち、相掛かりになりました。
この▲6六角は一見奇異な感じがしますが、単に▲2二角成ですと1手損してしまいます。
相手から交換させることで手損をしないようにするテクニックで、相掛かりに限らず応用範囲の広い手法です。
手損にまで気を遣うプロの序盤のセンスを見習いたいものです。
先手の棒銀に対して、後手は△3三桂と手堅く受けました。それならばと、▲4七銀~▲3六歩と桂頭を狙っていく山崎八段。桂頭が受けづらいようですが、△2四歩がこの場合の手筋です。
タダとばかりに▲同飛は△2五歩でふたをされ、先手陣は飛車を渡すとひとたまりもないので、これは後手が良くなります。
△2三銀と上がるスペースを作り桂頭を守ります。
先手はいまだに居玉です。
△2五桂に対して、3七の銀を▲2八銀と引いた山崎八段。一見、玉に近い▲4八銀と引くのがセオリーに見えます。
しかし、この後の△3六桂から銀を取られた形は、▲4八銀と引くより▲2八銀のほうが良いです。
形にとらわれずに読みが入った一着でした。
郷田九段もこの銀を取りませんでした。
俗に「プロの将棋は、王手飛車をかけたほうが負ける」という説があるそうです。
▲5一角はその王手飛車。
飛車にはひもがついており、郷田九段の消費時間から考えると予定通りと推測できます。
この局面に限っていえば、形勢は後手が良いので、その説に当てはまりそうです。
3六の桂馬を金で食いちぎった山崎八段。
単純に金を取り返す△3六同歩が自然に見え、郷田九段もそう指されたのですが、なんとこれが大悪手という感想でした。
Ponanzaも、うちのソフトも、後手良しだったのに△3六同歩で評価値が一気に互角へ戻っています。
うちのソフトは△3六同歩に変えて、△7七歩や△4七角成を推奨しています。
実戦は△3六同歩だったため▲6三成桂と金を取った手が間に合い、△4七角成に▲5八金と受けることができて、速度が逆転してしまいました。
昔、NHKでちょいワル逆転術の講座をされていた山崎八段が逆転で第1局を制しました。
次局は郷田九段の先手番です。
戦型は、▲2六歩なら相掛かり、▲7六歩なら一手損角換わりを予想します。
第1期叡王戦決勝三番勝負第2局
郷田真隆(ごうだ・まさたか)王将 対 山崎隆之(やまさき・たかゆき)八段
2015年12月13日(日)
10:00~
<京都国立博物館>京都府京都市東山区茶屋町527
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第1期叡王戦 決勝三番勝負 第2局 郷田真隆九段 vs 山崎隆之八段
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