名人戦

A級順位戦プレーオフ第2局 渡辺明二冠 対 久保利明九段

23年ぶりに4者プレーオフとなった第73期A級順位戦。
プレーオフ第1局は68手で久保九段の勝ちとなりました。
第2局は渡辺二冠と対戦します。

それでは、プレーオフ第1局を振り返りましょう。

A級順位戦プレーオフ第1局-1

振り駒の結果、広瀬八段の先手となりました。
初手は▲7六歩。
後手となった久保九段は、2手目△3二飛戦法もありましたが、ゴキゲン中飛車に。
そこに、広瀬八段、▲5八金右と超急戦辞さずの構えをとりました。
そして、久保九段がそれを買って出て、午前中から激しい戦いに突入しました。

A級順位戦プレーオフ第1局-2

▲5八金右の超急戦は、ここまでが一つの定跡。
今まで多かったのは△9九馬▲3三角△4四銀という将棋で、久保九段が王将奪取を決めた1局がこれでした。
現在は▲3三角に代えて▲3三香が有力で、それを踏まえて、後手の久保九段は△5四銀と受けました。

A級順位戦プレーオフ第1局-3

△5四銀ならここまでが一つの進行例で、この1手前の局面は、NHK杯の▲豊島△北浜戦と同じで、記憶にある方も多いでしょう。
NHK杯の豊島七段は▲1一龍でした。
NHKテキストに載っている北浜八段の自戦記によると「▲1二龍の1手だと思っていた」と、書かれています。
現在、その見解がどう変わったか、お聞きしてみたいですね。

A級順位戦プレーオフ第1局-4

激しい戦いの中、後手は駒得を、先手は手番を使ってそれを補う何かを主張しています。
その何かを察知して受けた△7二玉が味のいい一手で、これでぐっと後手玉の耐久力が増しました。
続く△5二角で後手陣がしっかりし、こうなると、アマチュア的にも駒得の後手のほうが優勢と分かります。

A級順位戦プレーオフ第1局-5

必至に迫った広瀬八段でしたが、後手玉が堅く、取り付く島もありません。
馬を切ってまで打った△2二香が厳しすぎます。
教室名に「香」を入れている私としては、たまらない投了図となりました。
香車は、遮る駒がなければ8マス動くことができ、これは金駒よりも多いですね。
こういう使い方ができるとほんとに気持ちいい……と、語りだすと終わらないので、この辺で(笑)
超急戦の戦いを久保九段が制しました。

勝った久保九段は、次局は渡辺二冠との対戦です。
順位戦最終局を69手という手数で負けているので、心中期するものがあるでしょう。
戦型予想は対抗形でほぼ決まりと思われます。
もう一歩踏み込んで、中飛車と予想します。
力と力のぶつかり合いを期待したいですね。

A級順位戦プレーオフ第2局
渡辺明(わたなべ・あきら)二冠 対 久保利明(くぼ・としあき)九段
2015年3月10日(火)
10:00~
東京将棋会館

棋譜中継はこちら(有料)
名人戦棋譜速報

ニコニコ生放送はこちら
A級順位戦プレーオフ生中継 第2局
解説:佐藤紳哉(さとう・しんや)六段
聞き手:鈴木環那(すずき・かんな)女流二段
※タイムシフトはなく、大盤解説は15時からです。

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