渡辺明王将に郷田真隆九段が挑戦していた第64期王将戦七番勝負。
第7局は99手で郷田九段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を4勝3敗とし、王将位を奪取しました。
では、第7局を振り返りましょう。
第7局は振り駒です。
先手番を引いたのは、郷田九段。
初手▲2六歩から、今シリーズ初の相掛かりになりました。
今期、郷田九段は先手相掛かりの勝率が高く、第7局で先手番を引いたのには、何か感じるものがあります。
対する渡辺王将は、中原囲いのように低く構え、カウンターに出る指し方を採りました。
郷田九段は、それでも前に出る▲4五銀。
感想戦後の真田六段によると、「(後手が)模様が取りづらくなった」とのことです。
この積極性が先手相掛かりの勝率につながっている、という見方は少々乱暴でしょうか?
2手前の▲8六銀に「微妙なのでどうかと思いましたが」と、郷田九段。
取り込ませることで、いつでも▲6六角が飛車取りに当たります。
このタイミングで端攻めに出て、戦機をつかみました。
渡辺王将の感想を見る限り、やや意外だったのかなと感じます。
先手の端攻めに対して、歩切れになった瞬間に打った△5三角。
これが、次に△8六角▲同歩△同飛を狙っており、その時に歩がないので受けにくいという読みです。
それでも郷田九段は大丈夫と見て▲1一歩成。
剛直、という言葉がぴったりの一手ですね。
ガツンと7七に銀を打ち込んだ局面。
「取ってくれれば(中略)大変だと思ったのですが」と、渡辺王将の感想があります。
郷田九段は▲5九玉と逃げて、スキをみせません。
ところが、ソフトによると、この局面から▲7七同桂△同歩成▲同角△同桂成▲同玉で先手良し、というのです。
ちょっと人間にはマネできませんね。
以下、端攻めで作った「と金」が大いに寄せに働き、先手の郷田九段が押し切りました。
郷田九段の王将位は、自身初。
44歳での戴冠は、史上最年長とのことです。
数年前には森内俊之九段が竜王位の最年長記録を作りました。
まだまだ40代の活躍が続きますね。
郷田新王将、奪取おめでとうございます!