王将戦

第64期王将戦七番勝負第6局

渡辺明王将に郷田真隆九段が挑戦している第64期王将戦七番勝負。
第5局は97手で渡辺王将の勝ちとなりました。
シリーズ成績は渡辺王将の3勝2敗です。

では、第5局を振り返りましょう。

第64期王将戦七番勝負第5局-1

 
本局の先手番は渡辺王将。2手目△8四歩に対して、角換わりを目指しました。
後に定跡形に合流するのですが、4手目△8五歩は郷田九段ならではの指し方。
渡辺王将や羽生名人なら、4手目△3二金として角換わりに向かうところで、このあたりは郷田九段ならではの手順と言えそうです。

第64期王将戦七番勝負第5局-2

 
手順の違いはあれど、今月8日に行われた棋王戦第3局に合流しました。
羽生名人は△7五歩でしたが、郷田九段はそれに疑問を持っていたとのこと。
その改良案として、△6三歩~△7五歩としました。
▲7五同歩の形にさせたほうがよいとの判断でしょう。

第64期王将戦七番勝負第5局-3

 
△7五歩の突き捨てを入れてから△2七角と打ったのが、郷田九段の新構想。
これを見た渡辺王将、「△2七角は打てないと思っていた」と、いう感想を残されています。
確かに▲4七金から後手の角を取れそうですから。
ところが難解な将棋が続いていくのです。

第64期王将戦七番勝負第5局-4

 
角換わりらしい激しい戦いの中、打たれた▲5二角。
矢倉崩しの角といえば▲6一角。
この場合は▲4一角成があるのでくっつけて打ったほうがより厳しくなっています。
「大駒は離して打て」の逆を行く手で、将棋の難しさを感じる局面でした。

第64期王将戦七番勝負第5局-5

先の▲5二角が厳しく、先手が良いのかと思われました。
続く▲3四桂に対して、△同金と取ったのがどうも良くなかったそうです。
ここで△1三玉と逃げておく方が良かったとのこと。以下、▲4一角成から攻め合った時に、7筋の突き捨てが効いて後手良しの変化があるそうです。
実戦は▲3四桂△同金▲同角成△4三銀と自陣に手を入れましたが、以降、プロ的には先手がはっきり良いとのことでした。

勝った渡辺王将は、シリーズ3勝目。
防衛に王手をかけました。
次局は郷田九段の先手番です。
郷田九段としては、ここを取って最終局へ望みをつなげたいことでしょう。
戦型予想は、意地の角換わり、としておきます。

第64期王将戦七番勝負第6局
渡辺明(わたなべ・あきら)王将 対 郷田真隆(ごうだ・まさたか)九段
2015年3月19・20日(木・金)
9:00~
<今井荘>静岡県賀茂郡河津町見高127
立会:木村一基(きむら・かずき)八段
副立会:野月浩貴(のづき・ひろたか)七段

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第64期王将戦 七番勝負 第6局 初日 渡辺明王将 vs 郷田真隆九段
解説:中田功(なかた・いさお)七段
聞き手:山田久美(やまだ・くみ)女流四段

第64期王将戦 七番勝負 第6局 2日目 渡辺明王将 vs 郷田真隆九段
解説:田中寅彦(たなか・とらひこ)九段
聞き手:竹部さゆり(たけべ・さゆり)女流三段

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