第22回達人戦の決勝戦が9月6日(土)に行われ、145手で森内竜王が勝ちました。
森内竜王は達人戦初優勝。
3度目の出場での戴冠でした。
では、決勝戦を振り返りましょう。
振り駒の結果、先手が森内竜王になりました。
後手の高橋九段は、2手目△8四歩。
横歩取りが得意なイメージがあったので、少々意外に感じました。
角換わりも考えられるところですが、森内竜王の選択は矢倉。
それも早囲いを狙いました。
派手な振り替わりがありましたが、駒の損得はなし。
さすがプロの将棋です。
このあたり、森内竜王は「手が止まらない展開になってしまいました。ちょっと勇み足だったかもしれませんね」と、いう感想を残しています。
「はっきり決める手がみえなかったです」と、森内竜王は仰っていましたが、歩頭の桂馬で迫りました。
△同歩と取ると、▲4三金△2二玉の時に▲3四桂を打つスペースができて、詰み。
こんなに迫力ある手で迫られたら、私などは一瞬でやられそうです。
激戦の中、高橋九段にも歩頭の桂馬が出ました。見ごたえのある終盤戦です。
高橋九段のブログから引用すると、
「必殺の桂打ち!・・・、のはずだった。」と、あります。次の△7五桂が詰めろでなく、先手の一手勝ちとなったためです。
「詰めろでなく」と文字にすると簡単ですが、実戦は秒読みの中、かなり王手の続く展開でした。試しにソフトで詰みを検索したら、詰みはなかったようです。これを秒読みで決断しなくてはいけないのですから、「指運」という言葉が思い浮かびます。
達人戦で初優勝した森内竜王は、この後、竜王の防衛戦を控えています。そちらも楽しみな勝負となりそうですね。