女流王座戦

第5期女流王座戦五番勝負第3局

加藤桃子女流王座に伊藤沙恵女流二段が挑戦する、第5期女流王座戦五番勝負。
第2局は116手で伊藤女流二段の勝ちとなりました。
シリーズ成績を1勝1敗とし、タイに戻しました。

では、第2局を振り返りましょう。

第5期女流王座戦五番勝負第2局-1

第2局は加藤女流王座の先手番です。
後手の伊藤女流二段は4手目△4四歩から矢倉を目指しました。
後手の飛車先不突に対して、先手は左美濃にするのがひとつの手法。
第1局は、▲6八玉~▲7七玉~▲8八玉というルート(符号は先後逆)を通りました。本局は▲7七銀から早囲いのルートで玉を囲います。

 

第5期女流王座戦五番勝負第2局-2

先手は片矢倉に組み、後手は金矢倉に組みました。
これだけでとらえると類型はたくさんありますが、後手の飛車先が伸びていないかわりに7筋の歩を交換できているものは珍しく感じます。
現在、先手から角交換をした手に対して、歩で取り返したのが地味ながら好感触。
藤井矢倉創始者の藤井九段も、「さすが」とおっしゃっておりました。

 

第5期女流王座戦五番勝負第2局-3

加藤女流王座が歩の突き捨てから右銀を繰り出していき、伊藤女流二段も受けの小技をはさみ、突き捨てから右銀を繰り出す矢倉らしい攻め合いの様相を呈してきました。
図の▲2五歩が、藤井九段をして「好手」という一手。
△同歩ならいつでも▲2五飛と走ることができますし、△3七歩成にも▲同桂と応じることができるようになります。
強い人は歩の使い方が上手いと言われるように、こういう手筋を見習いたいものです。

 

第5期女流王座戦五番勝負第2局-4

後手が馬を作り、先手の攻撃陣を背後から狙っている局面。
ここで▲5六角と△4七馬を受けました。
後手の玉頭である2三のマス目を狙いながら攻防の一手のようでしたが、いかんせん、角が狭いところにあります。
△3五歩から連打の歩でキズを消されてから、この▲5六角を攻められてしまいました。

 

第5期女流王座戦五番勝負第2局-5

後手の右銀と右桂で先手の角は行き場所を失ってしまいました。
その代償にと金を作った加藤女流王座でしたが、ここで△5五歩が格調高い攻め筋。
先手が駒損をしないためには▲7三と△5六歩に▲8二と△5七歩成ですが、△4五角の王手飛車ラインなどもあり、後手の攻めを受け切ることができません。
本譜の手順は角桂交換に甘んじるものですが、やはり損が大きかったようで、ソフトの評価値も後手良しに大きく傾いています。

 
伊藤女流二段が得意の矢倉戦を制して、タイトル戦初勝利です。

次局は伊藤女流二段の先手番です。
戦型はおそらく矢倉になると思われますが、ここまで後手が連勝しているので、新たな工夫が見られるのではないかと予想します。
 
 
第5期女流王座戦五番勝負第3局
加藤桃子(かとう・ももこ)女流王座 対 伊藤沙恵(いとう・さえ)女流二段
2015年11月28日(土)
10:00~
<芝苑>大阪府大阪市北区西天満4-9-16
立会:淡路仁茂(あわじ・ひとしげ)九段

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