加藤桃子女王に室谷由紀女流二段が挑戦している第9期マイナビ女子オープン五番勝負。
第1局は140手で加藤女王の勝ちとなりました。
では、第1局を振り返りましょう。
振り駒の結果、室谷女流二段の先手番となりました。
加藤女王の2手目△8四歩に▲5六歩と中飛車模様の出だしから、向かい飛車に振りました。
向かい飛車に△4二玉は仕掛けのチャンス、と言われますが、この場合は▲8六歩に△7七角成と角交換する手があるので、飛車の素抜きの筋にはなりません。
後手の右銀が7一に居るのもさりげないポイントです。
後手の加藤女王は、舟囲いから急戦模様の駒組みを進めました。
途中、室谷女流二段の細かい工夫で後手の持久戦模様をけん制しており、先手の方が上手くやっている印象があります。
図の▲7七桂は振り飛車党なら指がしなりそうな気持ちの良い一着。
これに対して△8六飛と走ったのがあまり良くなく、ここからは先手のペースとなりました。
先手は玉が堅く、駒得をしていて、遊び駒もありません。つまり、形勢は先手良し。
▲5三桂打とさらに駒得を重ねて、先手好調です。
ひとつ気にかかるとすれば先手の4八にいる角の働きで、これは持ち駒の角を打ったものです。
苦しい局面が続く加藤女王は、端攻めで綾を求めます。
図の△1八歩が「敵の打ちたいところに打て」の格言に基づく一手で、▲1八歩と受ける手を消しています。
まだまだ後手にとって形勢は苦しいですが、くらいついていく精神力はさすがタイトルホルダーといえそうです。
気になると書いた先手の4八角は、一回▲1五角と出て、また戻ったものです。この辺りは持ち時間が少なく、室谷女流二段も読み切れていなかった印象を受けます。
△3七香と打ち込んだ手に、▲2九銀と引いた手が敗着となってしまいました。
何とここから先手玉は詰んでしまいます。
▲2九銀では▲4九銀と引けば詰みはなく、局後のインタビューで加藤女王は「▲4九銀なら読み切れていなかった」という旨のコメントをされていました。
序中盤で優勢を築いた室谷女流二段にとっては惜しい将棋となりました。
第2局の戦型も対抗形になることでしょう。
序盤の室谷女流二段、終盤の加藤女王という構図になりそうなシリーズと予想します。
第9期マイナビ女子オープン五番勝負第2局
加藤桃子(かとう・ももこ)女王 対 室谷由紀(むろや・ゆき)女流二段
2016年4月27日(水)
10:00~
<ホテルハマツ>福島県郡山市虎丸町3-18
立会:中村修(なかむら・おさむ)九段
棋譜中継はこちら
マイナビ女子オープン in 将棋情報局
現地イベント情報はこちら
第9期マイナビ女子オープンイベント情報 (日本将棋連盟)