里見香奈女流名人に清水市代女流六段が挑戦していた第41期女流名人戦五番勝負。
第3局は111手で里見女流名人の勝ちとなりました。
シリーズ成績を3連勝とし、6期目の女流名人を獲得しました。
では、第3局を振り返りましょう。
第3局は里見女流名人の先手。
第1局と同じ出だしから、本局は向かい飛車になりました。
△5四歩型には、向かい飛車側から仕掛けて一気に優勢になる派手な手順もあり、アマチュア的には魅力的な戦法かもしれません。
対する清水女流六段は慎重な駒組み。
急戦調に△6四銀と出たかと思えば、▲7八金を見て、一転持久戦へ。
並べながら、これは清水女流六段らしいなと思っていたら、ツイッター解説の高見五段も同じことをおっしゃっていました。
持久戦調からチャンスと見て仕掛けた清水女流六段。
交換した銀を打たせて、後手満足の展開に見えます。
ここで△2二角と引きました。
しかし、この後の展開を考えると、△6四角もあったのかなと思います。
というのは、結果論ですが、終盤、この角が壁になってしまったからです。
ただ、△6四角も狭い位置なので、一長一短ですね。
清水女流六段は取られそうな拠点を生かして、△8七銀と打ち込みました。
アマチュアであれば「筋悪」の烙印を押されそうな手です。
やはり、この手が疑問手との感想で、上図の△2二角もどうだったかな?と清水女流六段は振り返っています。
一時は飛桂交換の駒損ながら、8七の金が遊んでおり、先手の攻め駒が▲7三歩成、▲6五桂、▲9五角~▲5一角成と気持ちよくさばけ、先手が良くなりました。
終盤の局面。
里見女流名人の選択は、▲5二と。
解説の高見五段は、▲6三と。
ソフトの推奨は、▲6三飛。
勝ち方がたくさんあるということは、それほど形勢に差がついている証拠ですね。
里見女流名人が中段玉を捕まえて、勝ちを決めました。
終わってみれば3連勝と強さを見せた里見女流名人。
6連覇は史上初のことで、またひとつ歴史に名を刻みました。
他棋戦でも絶好調で、復帰後の女流棋戦では負けなしです。
ただ、インタビューでは、手が読めていないという旨の発言をされており、体調が万全でないことも併せて、完全復調というわけではないようです。
もう1期三段リーグをお休みし、10月から復帰、という意図がようやく分かったような気がします。
里見香奈女流名人、防衛おめでとうございます!