「日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術」によると普段洗いの洗濯物には「アルカリ性液体洗剤」が良いとのこと。
今までは、何も考えずに粉末石けんを使っていたので、早速探してみました。
様々な洗剤がある中、目に留まったのはこちら。
マグネシウムと洗濯がどうつながるのか?
疑問に思ったことを調べてみました。
なぜマグネシウムが洗濯に使えるの?
「マグネシウムの基礎知識」(日本マグネシウム協会)によると、「高温水や塩化物を含む水溶液中では水と反応し、水素ガスを発生しながら水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を形成する。」と、あります。
法律で水道水に塩素を入れることが定められているため、反応すると考えられます。
マグネシウムと水の反応
Mg + 2H2O → H2 + Mg(OH)2
⇒ 水素と水酸化マグネシウム
生成された水酸化マグネシウムがイオン化することで、水道水をアルカリイオン水に変化させるそうです。
水酸化マグネシウムのイオン化
Mg(OH)2 → Mg2+ + 2OH-
⇒ マグネシウムイオンと水酸化物イオン
広島大学の研究によると、「アルカリイオン水、酸性イオン水、超純水のうち、粒子汚れ除去効果、再汚染防止効果、脱臭効果がもっとも良好な水はアルカリイオン水」「アルカリイオン水は含まれる電解質のOH-が静電的に汚れを分解したと考えられる」と書かれています。
つまり、マグネシウムと水道水を反応させてできた水には洗浄力がある、と言えるでしょう。
メリットは?
- 肌に優しい
- 経済的
- すすぎの回数が少なくて良い
化学薬品を使わないので、アトピーの方やお子さんにも安心です。
繰り返し使えること、洗濯槽クリーナーが要らなくなること、それらを買う手間が省けることなどから、経済的と言えます。
洗剤のすすぎ残しが無くなるため、汚れを落とすのに必要な分だけすすげば良くなり、節水にもつながります。
デメリットは?
- 水と反応して洗浄力が出るまで時間がかかる
- 動物性繊維には使えない
- ごく稀に金属アレルギー反応が生じる
洗浄力が出るまでにはどうしても15分くらいかかってしまいます。
シルクやウール、カシミアなどの動物性繊維はアルカリ性に弱いです。
マグネシウムは人体に必要なミネラルのひとつなので、アレルギーが出にくいと言われています。しかし、ごく稀にアレルギー反応を起こす方もいらっしゃるそうなので、ご留意ください。
どうやって使うの?
ネットに入ったマグネシウムを水の中に投入し、15分くらい洗濯機で回します。
その後、マグネシウムは入れたまま通常の洗濯をすればよいです。
洗濯機に「水 ⇒ 洗剤 ⇒ 洗濯物」の順で入れると繊維へのダメージを減らせる(日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術より)らしいので、よりやさしく洗えますね。
なお、乾燥機にかける場合は、マグネシウムは取り出すと良いです。マグネシウム自体に影響はないものの、それを入れるネットが傷むからです。
マグネシウムの量はどのくらい要るの?
少なくとも300g以上、なるべく多い方が良いと考えます。
前述の広島大学の研究では「pH9.6のアルカリイオン水」を用いています。マグネシウムの量や攪拌時間を変えた様々な実験動画をYouTubeで見てみると、1kgくらいでやってもやりすぎではないとすら思えてきます。
メンテナンスの方法は?
クエン酸を溶かした水で表面の被膜を取ります。
「マグネシウムの基礎知識」によると、「マグネシウムは大気中の炭酸ガスや亜硫酸ガス、湿気と反応し酸化物、硫化物、水酸化物の皮膜を生ずる」とあります。つまり、空気中に置いておくだけで何かしらの被膜ができるのです。
被膜は反応を悪くさせるので、放っておくと水がアルカリイオン水になりません。それをはがすためには、酸性の水溶液に漬ければ良く、酢でも代用できます。
水酸化マグネシウムとクエン酸の反応
Mg(OH)2 + C6H8O7 → MgC6H6O7 + H₂O
⇒ クエン酸マグネシウム + 水
あまり漬ける時間が長いとマグネシウムがクエン酸と反応してしまうため、数分くらいで良いでしょう。
マグネシウムとクエン酸の反応
Mg + C6H8O7 → MgC6H6O7 + H₂
⇒ クエン酸マグネシウム + 水素
クエン酸水に漬けたマグネシウムが発泡して、気体が発生します。理論上は水素なのですが、実際に嗅いでみるといい匂いと言えません。おそらく、被膜に塩化マグネシウムができていて、塩素ガスを発生させている可能性があります。メンテナンスは風通しのよい場所で行うほうが良いでしょう。
使用上の注意点は?
- 洗濯槽をきれいにしてから使う
- 火気に気をつける
アルカリイオン水に洗浄力があるため、洗濯槽裏の汚れも落ちます。それが洗濯物にくっつくと困りますよね。洗濯洗剤からマグネシウムに換える時は洗濯槽をクリーナーなどできれいにしてからが良いでしょう。
「マグネシウムの基礎知識」によると、「燃焼中のマグネシウムに適度の水が触れると水を分解し、水素と酸素が発生し爆発を起こし……」「適度の水を含む切りくずや微粉は裸火により容易に着火し……」とあります。
また、水素は火をつけると爆発します。理科の実験でやりましたね。
いずれも「可能性は低い」という記述が見受けられますが、「ゼロ」ではないので、心に留めておくと良いでしょう。
まとめ
マグネシウムには、水をアルカリイオン水に変える力があり、洗濯に使えます。
メンテナンスなどのデメリットはあるものの、それを上回るメリットが期待できるので、しばらく続けてみようと思います。